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政治
おかしな「街頭演説」
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盛り上がりに欠ける参院選をどう報じればいいのか、ヒントは現場にある。というわけで、選挙期間中は一日一回は街頭演説に出向くようにしていた。全国遊説で「焦げたパン」のような顔になった自民党の石破(いしば)茂幹事長ほどではないが、炎天下での取材で日焼けし、どこかに遊びに出かけていたのかと誤解されることが多い。
街頭演説では、いくつか引っかかる訴えがあった。
民主党の前原誠司前国家戦略担当相の演説だ。前原氏が千葉市内で応援した長浜博行前環境相はより直接的だった。
前原氏は「アベノミクス」によるエネルギー価格の上昇、長浜氏は政権の社会保障改革への取り組み姿勢を強く批判し、松下政経塾出身者らしく、演説にはそれなりの説得力があった。
しかし、昨年12月までの民主党政権で衆参の多数派が異なる状態に苦しめられたことを忘れたかのような「ねじれ国会のすすめ」には強い違和感を覚えた。
地元・京都選挙区で民主党が共産党の候補に敗れる事態を予感していたのか、前原氏はこうも付け加えた。
17議席にとどまった民主党に次ぐ野党の獲得議席は、みんなの党、日本(にっぽん)維新の会、共産党がそろって8となった。政権奪回どころか、「振り向けば共産党」の境涯に追い込まれた野党第1党の悲哀がにじみ出ていた。
維新の橋下(はしもと)徹共同代表(大阪市長)は演説のたびに自らの慰安婦発言を取り上げていたが、その矛先は橋下氏が言うマスコミによる「誤報」だけでなく、自民党にも向けられた。
歯切れの良さは他の党首を圧倒していたが、そこまで言い切っていいのかという発言も散見されたのも事実だ。
そして、橋下氏は次のように続けた。
確かに、サンフランシスコ講和条約は11条で極東国際軍事裁判(東京裁判)などの受諾を求め、これを受け入れた結果、日本は主権を回復した。
しかし、「連合国側の勝者の判断による断罪」(安倍晋三首相)を、かつて原爆投下に関する発言で辞めた閣僚のように「しようがない」と首肯する気にはなれない。保守層に受けるからとか、外国に言われるからという理由で言を左右にする問題であってはならない。
首相を「歴史修正主義」と批判するみんなの党の渡辺喜美代表も含め、「改憲勢力」の間には歴史をめぐる隔たりがある。国会のねじれが解消した今、安倍政権がどのようにこの溝を埋め、憲法改正につなげるかに注目している。(加納宏幸/SANKEI EXPRESS)