SankeiBiz for mobile

フェイスブックは若者の幸福度蝕む 「使うほど気分落ち込む」米研究チーム警告

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの科学

フェイスブックは若者の幸福度蝕む 「使うほど気分落ち込む」米研究チーム警告

更新

フェイスブック(FB)のロゴをバックに、スマートフォン(多機能携帯電話)を使う男性。スマホからFBをチェックする若者は、FBを使えば使うほど悲しい気持ちになることが分かった=8月14日、ボスニア・ヘルツェゴビナのゼニツァ(ロイター)  世界最大の米交流サイト、フェイスブック(FB)を利用する若者は、FBをチェックすればするほど、友人たちの日常の方が素晴らしく思えてきて、気分が落ち込み悲しい気分になってくる-。

 こんな研究結果が8月18日までに米オンライン科学誌プロスワンに発表された。調査を手掛けた米ミシガン大学の研究チームは「FBは表面上、社会とつながりたいという人間の基本的な欲求を満たしてくれる貴重なツールに思えるが、(ユーザーの)幸福度はむしろ、蝕(むしば)まれている」と警告している。

 この調査は、FBがユーザーの幸福感や生活の満足感にどのような影響を与えているかについてまとめた初の研究結果として、英BBC放送や米ABCニュース(いずれも電子版)などが大きく伝えた。ミシガン大学は、米の消費者マインドを探る代表指標「ミシガン大学消費者態度指数」でも知られている。

 楽しそうな他人の生活

 研究チームは、スマートフォン(高機能携帯電話)を所有し、スマホから自分のFBのアカウントをチェックしている若者82人(平均年齢20歳)の協力を得て、2週間にわたり、彼らに毎日、朝10時から深夜0時までに「いまどんな気持ちですか?」「いま、どのくらい寂しいと感じていますか?」といった計5つの質問をテキストメッセージで不定時に送信、幸福感を調べた。

 その結果、FBを使っている理由として、ほとんどのユーザーが「友人と連絡を取り合うため」と答え、23%は「見知らぬ人々と出会うため」と説明。ユーザーの75%は、楽しく前向きな出来事やニュースを投稿したりシェアし合ったりしていたが、一方で36%が否定的な投稿やニュースをシェアしていた。

 さらに、多くの人が「FBを利用した後、気持ちが落ち込んだ」と答え、FBの利用頻度が増えるほど、生活における満足感が下がっていたことが判明した。研究チームではその理由について、他人の生活と自分の生活を比べて、他人の生活の方が自分より楽しそうだと感じ、落ち込んでしまうと分析している。一方、これとは逆に、実際に人と会って交流したユーザーは気分が良くなっていた。

 「彼らは気分が落ち込んだときにFBを使っていたわけではなかった。FBを使ったことで気分が落ち込んだのです」。論文の共同執筆者であるミシガン大学の社会心理学者、イーサン・クロス氏は、研究結果として、こう明言している。今回の研究に携わった研究者の一人、オスカー・イバラ氏はABCニュースに「FBは人々の生活において、非常に偏った解釈を与えるサイトであることを覚えておくことが大切だ」との厳しい見方を示した。

 連帯感が生む孤立感

 また、FBではユーザー同士の連帯感が強いことが、逆に孤立感を深めることにつながりやすいとの分析もある。英国心理学会員でインターネット心理学者のグラハム・ジョーンズ氏はBBC放送に「社会的な孤立よりも強い孤立を感じることが多いとの研究がいくつも出ている。社会全体としてFBをうまくつかいこなす術を学び切れてないということだ」と指摘した。

 魅力的なコミュニケーションツールとして、多くの人の日常生活に定着したFB。だが、ツールはあくまでひとが使いこなすもので、ひとが振り回されてはなるまい。(SANKEI EXPRESS

ランキング