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【勿忘草】東京五輪決定の勝因は「お・も・て・な・し」 日本人の美点
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2020年五輪の東京開催決定で、発表時以外に最も胸を打たれたのは、滝川クリステルさんがプレゼンテーションで「おもてなし」を訴えたときだった。フランス語の流麗なスピーチに挿入された「お・も・て・な・し」。個人的には、これが勝因と思っている。
おもてなしの心は目立たないが、日本人が誇るべき美点といえる。困っている人がいれば一生懸命対応する。気持ちよく過ごしてもらうために、見返りを期待せずに動く。それを意識せずとも行える。海外に行くと「日本は何ていい国なんだ」と痛感する人は多い。
おもてなしの心をぜひ、発揮してほしいのがパラリンピックだ。
現在、日本のバリアフリーはかなり進んできている。法律も施行され、エレベーターや車椅子用トイレ、スロープなども整備されている。しかし日本では、おもてなしの心でハード面にとどまらない力を発揮したい。
駅員が車椅子利用者を介助している場面を、よく目にする。少し前は「介助します」という意識が強いように感じていた。
私を含め、周囲の乗客も多少、緊張していた。ところが今は、駅員と利用者が一緒に乗降したり、乗り換えている姿が、とても自然に見える。過剰な感謝もへりくだりもなく、程よい距離感で話す姿を見ると、自然に笑顔になる。
毎朝乗る電車に車椅子の通勤者がいる。最初はどうしたらいいのか分からなかったが、そのうち周囲の乗客はすっかり慣れ、乗降のときは邪魔にならないよう順番を譲る。その動作はあまりにも当たり前で、乗客たちも意識しないでやっているに違いない。
7年後、ハード面のバリアフリーが100%達成するとは思えない。しかし、どんな人でも不自由なく行動できるよう、当たり前のようにふるまえば、ハード面の不便さは補える。おもてなしの心がある日本では、必ずそれができる。
7年前に取材したトリノ冬季パラリンピックでは、トリノ市民の間で障害者スポーツの人気が高まった。世界のパラリンピアンをはじめ、どんな人とも「当たり前」の関係を築くことができれば、意識も変わり、日本でも人気が高まるはず。おもてなしの心が開く先は明るい。(小川記代子/SANKEI EXPRESS)