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ALL JAPAN プロジェクト始動(上) 異業種コラボで元気に 伝わる大人の本気
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決起大会に潜入取材を行った学生記者の星和希さん(左)と栗原昌宏さん=2013(平成25)年8月24日、香川県高松市の「サンポート高松」(提供写真)
全国の幅広い分野の異業種が連携して日本を元気にしようというプロジェクトが始動した。2014年5月4、5日に、高松市で開かれる「ALL JAPAN プロジェクト 2014」だ。それぞれの地域や業界の垣根を飛び越えて、日本の強みである「もの作り」を生かし世界一を目指す。大学生の立場で、プロジェクトに参加する流通経済大学3年の星和希さん(21)が、プロジェクトの意義や主催者の思いをリポートする。
□今週のリポーター 流通経済大学 有志学生記者 星和希さん
2014年5月4、5日の2日間、高松市で「ALL JAPAN プロジェクト 2014」(AJP2014 仮称)が開かれる。衣・食・住・環境・文化教育など全国各地に点在するさまざまな業界が、その垣根を跳び越えて手を携え、10年後の日本の未来を考えようという試みだ。各地域の地域活性化活動が全国規模で連携し、日本全体を活性化することを目指している。
イベントでは、業種を超えたオール・ジャパンの結集を目指す異業種連携フォーラムのほか、コラボレーションによる新製品やサービスのコンテストなどが開催される。
プロジェクトのキックオフイベントとなる西日本大決起会が(2013(平成25)年)8月24日に、本番の中心会場となる「サンポート高松」で開かれた。その舞台裏に潜入し、発起人らのプロジェクトにかける思いを取材した。
私たちがこのプロジェクトに携わるようになったのは今春、発起人の一人で、全日本伝統文化後継者育成支援協会の代表理事を務める木村麻子氏(35)から、話を聞いたことがきっかけだった。
「子供たちに夢を取り戻してほしい。それにはまず大人が本気にならないと」。初対面の私たちに目を輝かせて、そう話す木村さんにぐいぐいと引っ張られ、自然と巻き込まれていった。若者としても何かしなければと考え、「次世代チーム」を結成することになった。
それから4カ月。まだまだ小さいが、関東を中心に新社会人、大学生、高校生によるチームができつつある。チームを代表してキックオフイベントを取材するため、高松へ向かった。
ステージと大きなスクリーンが設置された会場は、ムンムンとする「本気の大人の熱気」が満ちていた。
「大人の本気の文化祭みたいなイベント」「日本の大きな転換点」。参加者に話を聞くと、こんな答えが返ってきた。
プロジェクトには、若者から見ても、「かっこいい大人たち」が多く集う。その代表格ともいえる発起人の2人が、イベントであいさつに立った。
代表発起人である緑川賢司氏(46)。樹脂で試作品などの木型モデルを製作する「ミナロ」(横浜市金沢区)の代表取締役であり、全国の中小製造業者がその技術力を結集して製作したコマを回して戦うイベント「全日本製造業コマ大戦」協会の会長を務めている。
「人はいつか働けなくなり、ほとんどの会社が数十年しか続かない。大事なのは、生きている間、会社がある間に何が残せたのか、何が創れたのか、何と闘ったのかです。そして希望とは心に抱く意志のことだと思います。ALL JAPAN プロジェクトは意志と希望を与えたいと思っています」。緑川氏は、こう力を込めた。
もう一人の発起人が、異業種コラボの支援などを行っている「MDファクトリーHS」(東京都墨田区)の代表取締役の川端政子氏(38)。大阪の金属加工会社の営業マンとして多くの中小企業の経営者と接するなかで、「もっと皆でつながればいろいろなことができる」と考え、2年前に会社を設立したという。
「皆で、笑顔でいたい。日本を元気にするために私にできることなら何でもしたい」と、AJPにかける意気込みを語る。
大人たちの本気がビンビン伝わってきた。何事も本気になるには、明確な目標が必要だ。AJPに大人たちが本気になれるのは、デフレ不況が長く続き、閉塞(へいそく)感に覆われた日本を変えるんだという確固たる決意があるからだろう。(今週のリポーター:流通経済大学 有志学生記者 星和希/SANKEI EXPRESS)