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【取材最前線】土壌汚染マップで「入り口」対策

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【取材最前線】土壌汚染マップで「入り口」対策

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 新米の季節を迎えた。今年の新米出荷を前に、福島県がメディアを対象に開いたセミナーでは、コメの全量全袋検査にもかかわらず風評被害が残る現状や、信頼を取り戻そうと努力を続ける農家の声が紹介された。

 全量全袋検査というのは文字通り、すべてのコメを検査して、基準値を超えたコメの流通を防ぐという取り組みだ。BSE(牛海綿状脳症)のときに取られたのとほぼ同じ「出口」作戦である。これに対して、「入り口」つまり農作物を作る土の汚染状況を調べる土壌スクリーニングを行って放射性物質の値が高い場所を特定、それに応じた対策を取るという試みが始まっている。

 「農地の土壌沈着量こそ問題だ。国が公表している空間線量の数値は、農作物の安全性という意味からいえばほとんど意味がないんです」。福島大の小山良太准教授(農業経済学)はこう話す。小山准教授の研究チームは、福島県生協連、JA新ふくしまと連携し、土壌スクリーニングによるマップを作成する活動を行っている。

 1枚の水田につき、3カ所で土壌の放射線量を測って詳細な地図を作る。小山准教授によれば、福島市で土壌の放射性物質の数値が高いのは特定の水系の水田で、それ以外の場所の数値は低い。逆に、福島県外にも同じように数値の高い場所がある。「除染の遅れの最大の理由は土の仮置き場。だが、土壌の測定で汚染マップを作れば、優先的に除染する場所や、その方法を選択できるようになる」と小山准教授は言う。

 さらに作物によっても異なる。豆類は比較的土壌から放射性物質を取り込みやすい。逆にキャベツはほとんど取り込まないことがわかっている。土壌に応じた作物を栽培することで、リスクをより科学的・効率的に管理することができるようになる。事実をきちんと把握し、より体系的な対策を取る必要があると感じた。

 福島県によると、全袋検査には1袋につき約440円のコストがかかる。すべてのコメを検査することが安全を担保し、一定の支持を得ているのは事実だ。だが、それでも風評被害は収まっていない。福島では多くの農家が復興に向け、懸命に努力をしている。より効率的で信頼できる対策が急務だ。

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