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歴史と現在踏まえ、未来を考えてほしい 舞台「カルメギ(かもめ)」演出 多田淳之介さんインタビュー

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歴史と現在踏まえ、未来を考えてほしい 舞台「カルメギ(かもめ)」演出 多田淳之介さんインタビュー

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 劇団「東京デスロック」を主宰する多田淳之介(37)が、ソウルで斗山アートセンタープロデュース「カルメギ(かもめ)」(A・チェーホフ作、ソン・ギウン脚色)を演出し話題となっている。チェーホフの「かもめ」を日帝時代の朝鮮に置き換え日韓の俳優で描く意欲作だ。多田は「こうした設定の作品を日本人が演出するのは非常に珍しく難しい事なので、やる意義をとても感じています」と語る。

 誤解されない工夫

 東京デスロックは2009年から斗山アートセンターが育成アーティストとして支援するソン・ギウン(39)の劇団「第12言語演劇スタジオ」と共同製作を行ってきた。

 舞台は1930年代。文学青年リュ・ギヒョクは、田舎の伯父チャ・ヌンピョの家で戯曲と小説を書いている。ギヒョクの母で女優のチャ・ヌンヒが東京から日本の小説家、塚口次郎を連れてくる。やがてギヒョクが愛するソン・スニムと塚口、そしてヌンヒの四角関係が悲劇を呼び…。

 原作での主な役柄では、トレープレフ、ニーナ、アルカージナは韓国人、作家トリゴーリンを日本人が演じる。この設定はギウンが考えたという。出演はソン・ヨジン、ホ・ジウォン、クォン・テッキ、キム・ユリ、夏目慎也、佐藤誠ほか。

 多田は「韓国人同士でも歴史観は違っています。彼らはその事も了解していて、稽古場でのディスカッションは非常に有意義でした。ただ、観客に向けては日本人として何をするのか、誤解されないためにどう工夫するかが一番難しかった事でもあり、手応えがあった部分でもあります」と語る。

 物語は過去の設定だが、現代性も盛り込まれる。劇中の音楽はK-POPも日本のPerfumeも使われる。

 「今回は、その歴史問題と現在の関係を同時に舞台上に上げるということをやっています。歴史も、2013年も、両方とも現在存在するもの。どちらかに偏る事なく、歴史と現在を踏まえて、未来のことを考えてもらいたい」

 幸せを考える芸術

 多田の活動は東京を拠点とせず、地域や演劇教育へ力を入れているのも特徴だ。公共文化施設の演劇部門では最年少で芸術監督に就任し、海外との共同製作も多い。

 「演劇はわたしたち人間が幸せに生きていくためにはどうすれば良いのかを考えることが出来る芸術だと思っています。『わたしたち』には、家族、友達、地域、国、さまざまなサイズがありますが、日常ではなかなかそのサイズを超えて考える機会がありません。このサイズを大きくしていきたいですし、自分の活動を見て、そういった事を考えてもらえるとうれしいです」と話している。(田窪桜子(おうこ)/SANKEI EXPRESS

 ■ただ・じゅんのすけ 1976年、千葉県出身。2001年、劇団「東京デスロック」を旗揚げし、全作品の作・演出を担当。劇団「青年団」演出部にも所属し、青年団リンク「二騎の会」を共同主宰。10年から富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ(埼玉県)の芸術監督を務める。日本の地域演劇のみならず、韓国やフランスでの公演、共同製作などにも積極的に取り組んでいる。俳優として舞台、映像など幅広く出演している。

 【ガイド】

 10月26日まで、Doosan Art Center Space111(韓国・ソウル)。東京デスロック deathlock.specters.net/

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