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ウクライナ前首相、来月にも釈放 EUが圧力 現政権、療養名目で合意 近づく母娘再会

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ウクライナ前首相、来月にも釈放 EUが圧力 現政権、療養名目で合意 近づく母娘再会

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 職権乱用罪で禁錮7年の実刑判決を受け投獄されたウクライナのユリア・ティモシェンコ前首相(52)が11月にも釈放される見通しだと、欧米メディアが10月14日までに伝えた。西側諸国は、親欧米派だった前首相の投獄を、親ロシア派の現政権による「政治的弾圧」と批判し釈放を求めてきた。前首相は、2011年10月の有罪判決から2年に及ぶ過酷な獄中生活で健康状態が悪化しており、欧州連合(EU)と関係を強化したい現政権も、療養を名目に釈放に応じることにした。

 「連合協定」締結の条件

 釈放が実現すれば、ウクライナは将来のEU加盟に向け大きく前進するが、ロシアの反発は避けられない。

 ウクライナのヴィクトル・ヤヌコビッチ大統領(63)は14日までに、地元テレビを通じ「ティモシェンコ前首相に関す問題を断固として解決に向かわせる方法を模索している」と、表明した。ミコラ・アザロフ首相(65)も海外記者団に 「われわれは、問題の解決に極めて近づいた」と語り、早期釈放を示唆した。

 ティモシェンコ氏は、2004年に親EU派が親ロシア派政権を破った「オレンジ革命」の立役者。05年に首相の座に就き、改革を進めたが、10年の大統領選で親ロシア派のヤヌコビッチ氏に敗北。11年8月に首相時代のロシアとの天然ガス輸入契約をめぐる職権乱用罪で逮捕され、10月に禁錮7年の実刑判決を受け投獄された。

 現政権が“政敵”の釈放に踏み切るのは、EUが圧力をかけたからだ。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)やロイター通信などの報道によると、EU側は、ウクライナとの自由貿易協定(FTA)を柱とする「連合協定」締結について、前首相の釈放をその条件とし、ドイツでの療養を提案した。

 露、報復に出る懸念

 EUとウクライナは11月28、29日にリトアニアの首都ビリニュスで開かれる東方パートナーシップ首脳会議での協定署名を目指している。協定は当初、11年12月に締結されるはずだったが、その直前に前首相が逮捕・投獄され、「政治弾圧」と反発したEU側が締結を延期したという経緯がある。

 将来のEU加盟への重要なステップとなる協定の締結を実現したいヤヌコビッチ政権は、EUの提案に同意。前首相側も、これまでは15年の大統領選を控え国外に出れば政治生命を断たれると警戒していたが、健康状態の悪化を受け療養を受け入れることにしたとみられる。

 ウクライナの首都キエフでは、前首相の支持者らが逮捕直後から座り込みの抗議運動を続けているほか、娘のエフゲニヤさん(33)は「獄中で虐待を受け健康が悪化している」と訴え、早期釈放を求めてきた。また国家による人権侵害を救済する欧州人権裁判所は今年4月、「投獄は違法」との判断を下している。

 母と娘の再開の日は近づいているが、EUとの接近を図るウクライナに対し、ロシアが報復に出る懸念もある。実際、ロシアは今年8月に、自らが主導する関税同盟への参加をウクライナが拒否したこと受け、ウクライナ製品の輸入禁止措置を発動した。

 これに対し、EUのステファン・フュール委員は「民主化に動き出したウクライナに対するこうしたロシアの圧力は許されない」と警告している。(SANKEI EXPRESS

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