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社会
【Q&A】金融庁検査 妨害は告発 「半沢直樹」で注目
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みずほ銀行が暴力団関係者への融資を放置した問題や、金融庁の検査官が銀行員と対決して人気を博したテレビドラマ「半沢直樹」で、金融庁による厳しい検査に注目が集まっています。
Q 金融庁とはどんな組織ですか
A もともとは旧大蔵省のなかにあり、金融機関の検査と監督を担当していました。ですが、旧大蔵省の官僚が銀行から接待を受けた事件をきっかけに、1998年に「金融監督庁」として分離させられました。2000年には金融制度の仕事も移して「金融庁」と名称を改めました。
Q 検査の目的は
A 検査は銀行法や保険業法などの法律に基づいて行われ、銀行や保険会社が健全な経営をしているかどうかを点検します。東京・霞が関にある金融庁や各地にある財務局などに所属する検査官が、銀行や保険会社に立ち入って財務などに関する膨大な書類を丹念に調べ、担当者に詳しく話を聞きます。通常は2、3カ月で済みますが、長い場合は半年に及ぶこともあります。
Q どんな問題が隠されているのですか
A 反社会的勢力への融資を放置するなど法令順守ができる体制になっていない事例や、業績不振の企業への過剰な融資が焦げ付いて経営が危うくなっている事例などがあります。
Q 経営にまで口出しするのですか
A 銀行や保険会社は顧客の大切な資産を預かっています。いいかげんな経営で破綻したら、支払いが滞ったり代金が振り込まれなかったりして大混乱に陥ります。そうならないために、みずほなど大手銀行3グループは毎年、そのほかの金融機関は2~3年に1回の検査が行われます。
Q 重大な問題が見つかった場合は
A 定期的な報告を義務付けて業務の見直しを求める「業務改善命令」や、一定の期間、業務をさせない「業務停止命令」を出します。問題が深刻な事例では、担当者や経営者の責任を問うこともあります。
Q 金融機関側の対応はどうですか
A 検査に協力することがほとんどですが、問題のある資料を故意に隠すなど悪質な事例もまれにあります。これは「検査忌避」と呼ばれ、刑事告発の対象となります。有罪になれば、個人には1年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人には2億円以下の罰金が科されます。
Q 過去に告発を受けた事例は
A 旧UFJ銀行(現三菱東京UFJ銀行)は、検査前に融資先に関する段ボール100箱以上もの資料を別の部屋に移して隠していました。組織的な検査忌避だとして、2004年10月に告発されて元副頭取らが逮捕され、有罪判決を受けました。10年9月に経営破綻した日本振興銀行も告発を受けました。
≪みずほ暴力団融資 ずさん調査で報告≫
みずほ銀行が暴力団関係者への融資を放置していた問題で、みずほ銀行が事態を把握した2010年12月に法令順守担当役員だった上野徹郎副頭取(当時)に事情を聴かないまま、「情報は担当役員止まりだった」と断定していたことが10月17日、分かった。
実際は当時の西堀利(にしぼり・さとる)頭取も把握しており、ずさんな調査を基に金融庁に事実と異なる報告をした実態が浮き彫りになった。
上野氏は共同通信の取材に応じ、金融庁への報告前には「全く何も聞かれていない」と述べた。上野氏は問題の融資が銀行にとって「重要なテーマの一つだった」と明言、「11年2月、法令順守に関する会議などに報告した」と説明し、西堀氏も知っていたはずだとの認識を明らかにした。上野氏は翌3月末に退任した。
上野氏は退任後に初めてみずほ銀行から事情を聴かれた今月(10月)7日、西堀氏に問題を報告していたと証言したという。
みずほ銀行は、金融庁が12年12月から13年3月まで実施した検査で指摘するまで、2年以上にわたって抜本的な対応を取らなかった。検査後、金融庁に融資の情報が担当役員で止まっていたと報告した。
みずほ銀行の佐藤康博頭取は今月(10月)8日、西堀氏が問題を把握していたと公表。金融庁は(10月)9日、みずほ銀行に異例の再報告を求め、みずほ銀行は28日までに事実関係などを報告する見通しだ。(SANKEI EXPRESS)
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