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中国のスタバ攻撃は逆効果に 国民ソッポ…外資批判は「見当違い」「失笑」

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中国のスタバ攻撃は逆効果に 国民ソッポ…外資批判は「見当違い」「失笑」

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 中国で米スターバックスが割高な価格設定によって暴利をむさぼっているとする特集番組を国営の中国中央テレビ(CCTV)が放送し、波紋が広がっている。

 国営メディアなどが、物価上昇や格差拡大への国民の不満をそらすため、外資系企業をやり玉に挙げ攻撃するのは中国の“常套(じょうとう)手段”。米アップルなどが標的になっており、スタバは新たな攻撃対象にされたようだ。

 ところが、今回はインターネット上で国民から「見当違いで不合理な報道」「他に報じるべきことがある」といった批判が噴出している。

 価格「他の国より高い」

 「中国のスターバックスは高い」と題する20分の特集番組が放送されたのは、今月(10月)13日。

 ロイター通信や香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストなどによると、番組では「ミディアム・サイズのラテ(354ミリリットル入り)の価格は、北京で27元(4.4ドル)だが、米シカゴでは3.2ドル、ロンドンでは4ドル」と紹介。

 「コーヒーだけではなく、スタバのマグカップ(中国製)は米国では10~14ドルなのに、中国では18ドルで売られている」とも伝えた。

 さらに「今年4~6月期の利益率は、中国・アジア太平洋地域が32%で、米国の21%など他地域と比べても世界一の水準」とする上海コーヒー協会会長の発言を引用し、スタバが中国で過剰な利益を上げているとの主張を展開した。番組の内容は、国営新華社通信系列の経済日刊紙でも大々的に報じられた。

 これに対し、スタバは10月21日、「中国市場の営業コストは他国と異なる」と、CCTVの主張に反論する声明を発表。「販売価格はさまざまなコストを総合考慮して決めている」とし、理解を求めた。

 ただ、声明では「中国メディアの最近の不安を理解する」と、弱腰な一面もみせた。

 スタバは急成長が続く中国で現在約1000店を展開。2015年には1500店まで増やす計画を打ち出しており、中国のメディアや消費者を敵にしたくないという本音が透けて見える。

 「国有企業の方が暴利」

 CCTVはこれまでも外資系企業を攻撃する番組を放映しており、アップルは、アフターサービスをめぐり中国と他国で大きな差があると批判され、ティム・クックCEO(最高経営責任者)が謝罪する事態に追い込まれた。

 中国では経済の過熱に伴う物価上昇や格差拡大への不満が高まっており、格差の象徴である輸入品を販売する外資系企業への攻撃は、「ガス抜き」ともいわれている。

 政府当局も乳製品や医薬品などの外資系メーカーによる価格操作の取り締まりを強化し、相次いで値下げに追い込んだ。

 ただ、今回のスタバ攻撃は国民の支持を得られていない。中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」では「高いなら買わなければいいだけだ」「報道は共感どころか失笑を買っている」といった批判が噴出している。

 「中国人は世界一高い家や車を買わされ、ネット環境も悪い。そうしたことを放置してスタバのコーヒーが高いなどと非難して何になる」「国有企業の方がスタバよりも暴利をむさぼっている」

 批判の矛先は逆に国営メディアや政府当局に向けられており、完全に裏目に出てしまったようだ。(SANKEI EXPRESS

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