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社会派20年 曲作りには困らない エイジアン・ダブ・ファウンデイション
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一時脱退していたメンバーが復帰し、最強の体制が復活したエイジアン・ダブ・ファウンデイション。在英のインド/バングラデシュ系のミュージシャンによって結成し、常にメッセージ性のある楽曲を発表してきた。中心人物のチャンドラ・ソニック(ギター)に話を聞いた。
「結成当時、先鋭的なバングラやジャングルといったビートはDJの間ではやっていたけれど、バンドで演奏するようになったのは僕らが最初。そして、ずっとこのスタイルを貫いてきた。なぜならこの音楽は、気持ちを戦闘的にさせてくれるからさ。ダブステップといった流行に惑わされず、貫いてきて良かった」
最新アルバム「ザ・シグナル・アンド・ザ・ノイズ」では、インドのカルカッタのラップグループ、ガンドゥ・サーカスや、デリーのフォークロックバンド、インパール・トーキーズのアクーとコラボした曲もあり、インドが直面している虐待やレイプなどの問題を扱った。反響が最も大きかった曲は「Get Lost Basher」。「シリアで、政府がある歌の存在を恐れてミュージシャンが殺されてしまった事件を知り、音楽がそこまで危険になり得ることに影響を受けて作った曲」という。
「ボスニア戦争に行く前に若者が僕らの『HOPE』という曲を流してくれたり、2年前のロンドンの暴動について曲を発表した時も反乱した若者が耳を傾けてくれたけど、一度曲を発表してしまうと、人がどう利用するかわからない。もはや自分たちがコントロールできることじゃないけれど、聴いてくれる人がいるだけでもうれしいよ」
人種差別がさらにひどかった子供の頃の1970年代は、身を守るためにTVを見て、社会情勢をチェックしていた。
「大学でも、文学と同時に社会の動向を学んだ。本当はSFが大好きで、ウィリアム・バロウズのようなビートニクの世界に進みたかったんだけどね」
今年で結成20年目を迎える。
「決して良いことではないけど、地球上に問題がある以上、曲作りに困ることはなかった。ギターでノイズを作っていくうちに、感情がどんどん駆り立てられていくんだ。でも、60歳には主夫になっていたいね(笑)」(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS)