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ドイツ語で歌える機会 うれしい 日本初演ライマンの「リア」で主役 バリトン 小森輝彦さんインタビュー 

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ドイツ語で歌える機会 うれしい 日本初演ライマンの「リア」で主役 バリトン 小森輝彦さんインタビュー 

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 ドイツで活躍し、宮廷歌手の称号を持つバリトン、小森輝彦がアリベルト・ライマン作曲のオペラ「リア」の日本初演で、主役リアを歌う。

 「ライマンは私が通っていたベルリン芸術大学の教授でしたので、ライマンの現代歌曲のクラスの発表はよく聴いていました。昨年1月、ハンブルクで『リア』のプレミエ(新演出初演)を見ました。素晴らしい公演で感銘を受けました。このオペラのクオリティーの高さは間違いありません」

 昨秋、17年住んだドイツから帰国した。12年の長きにわたってテューリンゲン州のアルテンブルク・ゲラ市立歌劇場で専属第一バリトンを務め、2011年には宮廷歌手の称号を日本人で初めて受けた。

 「ドイツでは、現代もののオペラの初演はよく行われます。芸術性の高い作品を引き継いでいかなければいけない、という伝統があるのです。私も若いころ、ゲラの歌劇場で現代もののオペラの初演を歌いました。『リア』はフランクフルトやベルリンなどの劇場ではレパートリーになっています。現代作品の中のスタンダードです」

 教科書と違う土着の話し方

 シェークスピア原作のこの「リア」は1978年、バイエルン州立歌劇場で初演された。指揮はゲルト・アルブレヒト、演出はジャン=ピエール・ポネル、主演はフィッシャー=ディースカウだった。これまでに30以上のプロダクションが作られている。

 「私はディースカウの演奏やCDを聴いて、お手本にしてやってきました。ディースカウはマニアックなまでに言葉を扱った唯一の存在です。私は“言語フェチ”で、言葉にこだわります。新聞評でも『小森のドイツ語が特によく分かる』と書かれました。『リア』は、ドイツ語のリズム、アクセントなどがよく分からないと歌えません。教科書のドイツ語とは違う土着の、日常のドイツ語のしゃべり方が出てきます。そして、王様は美しいドイツ語をしゃべらなければいけません。ドイツから引き揚げてきてすぐ、こうしたドイツ語で歌える機会を与えていただきうれしいです」

 5月に「マクベス」を歌い、今回の「リア」でシェークスピアは2本、1、2月には「タンホイザー」ビーテロルフ、7、8月にはオッフェンバックの「ホフマン物語」に出演、「リア」の後には、先日亡くなった三善晃の「遠い帆」の主演と今年だけで6本のオペラに出演する大活躍が続く。

 小森は「私がドイツで享受したもの、12年間劇場で経験したことを日本でお返ししたい。6本のオペラはそれぞれ違う言葉で表現できるのが楽しい。それぞれ言葉の持つ美学が違います。『リア』は現代音楽で敷居が高いと思うでしょうが、意外と頭というよりハートに直接訴えかける音楽なのです。難しいだけに難しく聴こえてはいけません。それを超えてこなれたところで舞台に乗せなくてはならないのです」と話した。(月刊音楽情報誌「モーストリー・クラシック」編集長 江原和雄/SANKEI EXPRESS

 ■Teruhiko Komori 東京芸大、同大学院、文化庁オペラ研修所、ベルリン芸術大学で学ぶ。1999年、プラハ州立歌劇場の「椿姫」ジェルモン役でヨーロッパデビュー。2006年夏はザルツブルク音楽祭の祝祭大劇場でのヘンツェ作曲「午後の曳航」に首領の役で出演。09年には細川俊夫のオペラ「班女」でトリノとミラノにも客演した。ドイツ、テューリンゲン州のアルテンブルク・ゲラ市立歌劇場で12年、専属第一バリトンを務め、日本人初のドイツ宮廷歌手になった。12年秋に帰国。今までに演じた役は66役を数える。二期会会員。東京音楽大学准教授。

 【ガイド】

 ■日生劇場開場50周年記念特別公演 アリベルト・ライマン:オペラ「リア」 11月8日(金)~10日(日) 日生劇場。原作:シェークスピア「リア王」。11月8、10日のキャストは、リア:小森輝彦 ゴネリル:小山由美 リーガン:腰越満美 コーディリア:臼木あい。11月9日はリア:小鉄和広 ゴネリル:栃波利加 リーガン:林正子 コーディリア:日比野幸

指揮:下野竜也 演出:栗山民也 読売日本交響楽団。問い合わせ(電)03・3503・3111

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