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7年47品 筆が滑ったメニュー表示 阪急阪神ホテルズ 食材偽装

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7年47品 筆が滑ったメニュー表示 阪急阪神ホテルズ 食材偽装

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 阪急阪神ホテルズ(大阪市)のホテルやレストランで、「鮮魚のムニエル」と表示しながら冷凍魚を使うなどメニュー表示と異なる食材が使われていた問題が波紋を広げている。調理担当者だけでなく、メニュー表示の担当者が虚偽を認識していたことも判明。阪急阪神ホテルズは10月23日、出崎弘社長ら取締役の報酬を一部返上する方針を固めた。消費者庁は景品表示法(優良誤認)に違反する可能性があるとして調査に乗り出す一方、他の名門ホテルは同様の問題がないか確認に追われた。

 容器詰めのフレッシュジュース

 問題が発覚したのは4都府県8カ所のホテルに入るレストラン計23店。「手作りチョコソース」や「手捏(ご)ね煮込みハンバーグ」とうたいながら既製品を使うなど虚偽表示は7年間で47品に上った。

 大阪新阪急ホテル(大阪市北区)のレストランでは、パーティー料理として提供していた「若鶏の照り焼き 九条ねぎのロティと共に」で、当初は京野菜の九条ネギを使っていたが、2011年6月の提供開始後に入手困難になり一般的な青ネギと白ネギに変えたという。

 阪急阪神ホテルズによると、メニューの開発当初は九条ネギを使っていたが、食材の変更をメニューに反映できなかったパターンとしており、阪急阪神ホテルズの広報担当者は「調理側は分かっていたはずなのにメニューが修正できなかった」と話した。

 ほかにも大阪新阪急ホテルの宴会場で「芝海老とイカのクリスタル炒め」にバナメイエビを使っていたケースでも、調理人が気付いていながら、放置されていた。会社によると、シバエビの仕入れ値が1キロ2500円なのに対し、バナメイエビは1400円だった。

 阪急阪神ホテルズは当初、「調理担当者はメニュー表示の違いに気づいていたが、実際にメニュー表示を行う配膳(はいぜん)担当者との間に情報伝達の不備があった」「意図的ではなく、法令の理解が足りなかった」などと説明。だが、「フレッシュジュース」と表示しながら容器詰めを使い、1386円で提供していた例では、調理担当者を介さず配膳担当者が直接、提供していたという。

 阪急阪神ホテルズの井上豊営業企画部長は「メニュー表示で筆が滑ってしまったのではないか」と釈明した。

 苦情が殺到

 各ホテルには「返金されるのか」との問い合わせや、「もう使わない」といった苦情が数百件も殺到。JR大阪駅前の大阪新阪急ホテルでは、宿泊客が「裏切られた」と憤った。

 大阪府の松井一郎知事は府庁で記者団に「偽装は駄目だ。お客さんに何を提供しているのか、正直に情報公開をするべきだ」と述べた。府は大阪商工会議所などとともに「食の都・大阪」事業を推進している。

 一方、東京・帝国ホテルは、マニュアルに基づき行っている全メニューの発注、納品業務を再確認した。広報課は「われわれは正しく表示しているが、問題を他山の石としたい」と話した。

 東京・椿山(ちんざん)荘や全国のワシントンホテルなど約50のホテルなどを経営する藤田観光も、食材の産地表示を再度確かめるよう指示した。「『鮮魚』や『地元野菜』といった誤解を招きやすい表示があれば取りやめる」(広報担当)という。

 ≪安定供給困難、経費削減への圧力も≫

 阪急阪神ホテルズによると、問題の発端は6月、東京ディズニーリゾートの3つのホテルが「車エビ」と表示しながらブラックタイガーを使うなどしていたことを受け、社内調査したことだった。一部のホテルが「偽装」に走ってしまう背景として、高級食材の安定供給が難しいことや、競争激化で高まる経費削減への圧力が指摘されている。

 問題をめぐっては、阪急阪神ホテルズが消費者庁に報告後、約2週間公表していなかったことも判明。阪急阪神ホテルズは10月22日の記者会見で「各ホテルからの報告の集約や漏れがないか確認していた」と釈明した上で陳謝し、社長も含め関係役員、従業員の処分を検討していることを明らかにしていた。

 経済ジャーナリストの荻原博子さんは「ブランド力で売ってきたホテルがこういうことをするとどうなるか分かっていない」と憤る。「『今日は特別な日だからホテルで食事しましょう』ということはなくなる」

 宮城大学の堀田宗徳准教授(56)=フードサービス論=は「ホテル間の競争が厳しく、食材も安いものを使わなければならないとしても、顧客無視の企業の論理、コンプライアンス(法令順守)低下と言わざるを得ない」と話した。(SANKEI EXPRESS

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