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買い物 高齢者の心身に好刺激

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買い物 高齢者の心身に好刺激

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 高齢者の健康を保ち介護予防にもなる、と買い物が見直されている。スーパーの無料バスで出かけ、知人を増やして元気になる人。献立づくりに夢中になる認知症の人もいる。老人ホームでは100円ショップツアーが人気だ。外に出て会話しながらお金の計算をして商品を選ぶ-。一連の行為が心身に良い刺激を与えるようだ。

 バスの中で会話

 北海道のほぼ中央部にある人口約1万2000人の赤平市。コープさっぽろあかびら店が毎日市内を巡回させる無料バス「トドック号」は高齢者で満員だ。顔見知りが多く、停留所で人が乗ってくるたびにおしゃべりが始まる。

 バスに乗り込んだ武田啓子さん(78)は「一人暮らしなので以前は息子に買い物を頼むことが多かった。今は知らない人とも知り合いになって、出かけるのが楽しみ」と話す。週2回バスで店に来るという女性(84)は「友人に久しぶりに会って話せることもある」と笑顔を浮かべる。

 コープさっぽろは炭鉱業の衰退に伴う人口減少などを受けて一度閉店したが、2009年に大型店舗を小学校跡地に再出店。隣接する市立病院にも通えるよう、開店時間前からバスを走らせる。「地域に貢献するのも役割」と小林英人店長。

 コープさっぽろ店を調査した北海道大の森傑教授(都市計画)は、バスの中が交流の場になっている点に注目。「物を買うだけではなく、人と接して刺激を受けることで新たな意欲が生まれる。それが高齢者を健康にし、地域を活気づけている」と評価する。

 頭や体使い介護予防に

 東京都世田谷区の認知症グループホーム「やまぼうし」では、散歩を兼ねて入居者と職員が近くの商店街で買い物するのが日課だ。

 食材を手に取って店の人と話すうちに、家族に料理を作っていたことを思い出し、どんな献立にするか会話が弾むという。「重い認知症でもお金の計算ができることがある。後で買い物のことを忘れることがあっても楽しそうです」と職員。

 神奈川県藤沢市の有料老人ホーム「ボンセジュール湘南台」では、月に数回の「100円ショップツアー」が人気。入居者の女性(84)は「買い物を頼むことはできるけど、やっぱり自分の目で見て選びたい」と話す。

 首都大学東京の星旦二教授(公衆衛生学)が1998年から2003年、全国の約2万2000人に実施した調査では、買い物ができる高齢者はできない人より生存率が高かった。

 「買い物をするために頭や体を使うことが心身の衰えを防ぐのではないか。弁当を届けてもらう方法もあるが勧めない。利用するならだれかと一緒に食べるなど工夫をしてほしい」

 高齢者の生き方に詳しい神経内科医の米山公啓さんは「歩くこと、何を買うか考えることなどは、脳を刺激し活性化させる手軽な介護予防策かもしれない」とみている。(SANKEI EXPRESS

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