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イラン核協議、合意ならずも「著しい前進」 焦る米が歩み寄り 欧州には警戒感

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イラン核協議、合意ならずも「著しい前進」 焦る米が歩み寄り 欧州には警戒感

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 イラン核問題をめぐり、ジュネーブで開かれていた欧米など6カ国とイランの協議は11月10日未明(日本時間10日朝)、包括解決に向けて双方が取るべき「第1段階」の措置で合意できないまま、終了した。20日にジュネーブで実務協議を再開する。

 欧州連合(EU)のキャサリン・アシュトン外交安全保障上級代表(57)は終了後、イランのモハマド・ザリフ外相(53)と共同記者会見し「多くの具体的進展があったが、いくらか相違も残っている」と明らかにした。ザリフ氏は「集中した協議だった」と述べ、次回での合意に期待を表明した。

 (11月)7日に2日間の予定で始まった今回の協議は、急遽(きゅうきょ)ジョン・ケリー米国務長官(69)ら各国の外相が加わり日程を延長。合意への期待が高まった。

 結論は次回以降に持ち越されたが、ケリー氏は記者会見で「非常に生産的で、著しい前進があった。(イランとの)距離は縮まっている」と強調した。(ジュネーブ 共同/SANKEI EXPRESS

 ≪焦る米が歩み寄り 欧州には警戒感≫

 暗礁に乗り上げていたイラン核協議が大きく動き始めた。核開発を止められず焦燥感を強める米国と制裁に国民の不満が高まるイラン。国交断絶中の両国は袋小路に陥った協議打開へ直接会談を重ねた。だが、協議は11月10日、核問題の包括解決へ向けた「第1段階」の措置に合意できないまま終了。ケリー米国務長官は「著しい前進」と成果を強調したが、米欧6カ国間の足並みの乱れがあらわになるなど、今後の曲折が予想される展開となった。

 体制維持のため軟化

 「この機会を逃してはならない」。ジュネーブで交渉の先頭に立つイランのザリフ外相は協議初日の(11月)7日、米テレビのインタビューで訴えた。

 保守穏健派のハサン・ロウハニ大統領(64)が8月に就任するまで、イランは核開発を国の基幹政策と位置付け、欧米との譲歩をかたくなに拒んできた。柔軟姿勢に転じたのは、イスラム体制維持に向けた危機感が背景にある。

 核問題をめぐる欧米の制裁の影響でイラン経済は「がたがたになった」(テヘラン市民)。

 政府歳入の半分以上を占める原油輸出量は激減し、インフレ率は40%を超える。国民の不満の矛先が指導部に向かいかねない状況だった。

 「妥協者と呼んではいけない」。最高指導者アリー・ハメネイ師(74)は(11月)3日、欧米に融和姿勢を示すロウハニ師を保守強硬派が激しく批判する中、核交渉チームをかばった。

 現実味増す攻撃

 米国の焦りも相当なものだ。

 核開発の進展がこのまま続けば、イランが潜在的な核兵器製造能力を獲得するのは時間の問題。そうなれば同盟国のイスラエルによる攻撃は現実味を増し、米国自らも軍事介入の決断を迫られる事態となる。

 バラク・オバマ米大統領(52)はロウハニ政権との間での外交解決に賭ける一方で「全ての選択肢を排除しない」と再三強調してきた。

 しかし、イランの核関連施設は各地に分散し、地下に設置されたものも多い。「軍事攻撃は核開発を後退させることはできても、終わらせることはできない」。米政府高官は核協議に先立つ(11月)6日、記者団に断言した。原油輸送の大動脈ホルムズ海峡に面し、強大な軍事力を持つイランがテロ活動を含めて報復に出れば、「予想がつかない結果をもたらしかねない」(米政府高官)。イラン核問題は、中東情勢を一変させかねない「時限爆弾」そのものといえる。

 仏外相「寛大すぎる」

 米国とイランの急速な歩み寄りに、警戒感をあらわにしたのがフランスなど欧州の一部だ。

 欧米のメディアによると、本格交渉入りの前提となる「第1段階」の着手を急ぎたいケリー米国務長官とイランのザリフ外相はジュネーブでの長時間の直接会談を通じ、イラン側が軍事転用が懸念されるウラン濃縮活動を制限、欧米が見返りとして経済制裁を一部緩和するとの合意案で歩み寄っていたようだ。

 これに対し、フランスのローラン・ファビウス外相(67)は、米欧側が核兵器の原料プルトニウムの製造につながるとして建設中断を求めている重水炉の扱いなどをめぐり、合意案が「(イランに)寛大すぎる」と異議を唱えた。

 協議終了後の記者会見の席上、米欧側とイラン側双方の出席者から笑みがこぼれた。だが、今回の協議はイラン核問題の打開に向け第一歩を踏みだしたというのが正確なようだ。(SANKEI EXPRESS

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