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「父の遺志受け継ぎ」絆強化 ケネディ米大使着任 オバマ氏とも太いパイプ

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「父の遺志受け継ぎ」絆強化 ケネディ米大使着任 オバマ氏とも太いパイプ

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 米国のキャロライン・ケネディ新駐日大使(55)が15日午後、成田空港に到着した。ケネディ氏は空港で記者団を前に声明を読み上げ、50年前に暗殺された父親のジョン・F・ケネディ元大統領(1917~63年)が「米大統領として初めて日本を訪れることを望んでいた」と表明。公務に尽くすという父親の生き方や遺志を受け継ぎ、日米関係の強化に取り組んでいく決意を示した。19日に天皇陛下に信任状を奉呈し、女性初の駐日米大使として正式に活動を始める。高い人気を誇る元大統領の長女という知名度と豊かな人脈を武器に、日米関係に新風を吹き込む存在となるか各界から期待が集まっている。

 ■「ハジメマシテ」

 デザイナーの夫、エドウィン・シュロスバーグ氏(68)を伴って記者団の前に現れたケネディ氏は、長旅の疲れも見せず、笑顔で「ハジメマシテ」と日本語を交えてあいさつした。数週間以内に、長女、ローズさん(25)、次女、タチアナさん(23)、長男、ジョンさん(20)の子供たちも合流するという。

 今月22日は元大統領の命日だが、ケネディ氏は父親の遺志を継ぎ「日米の緊密な関係の強化に取り組めることは特別な名誉」と述べた。バラク・オバマ大統領(52)の代理として駐日大使を務めることについても「光栄に思う」と話し、同盟の重要性を訴えた。その上で、「多くのことを学び、友人をつくり、(米国に戻った際には)日本にいらっしゃい、と皆に勧めたい」と結んだ。

 ■普天間、TPP…

 ケネディ氏は、元米大統領とジャクリーン夫人(1929~94年)の長女で、ニューヨーク生まれ。父の大統領就任に伴い3歳の時にホワイトハウスに移り住んだが、5歳の時に父が暗殺され、99年に3歳下の弟を飛行機事故で失ったりするなど身内の悲劇を何度も経験した。

 ハーバード大、コロンビア大法科大学院を出て弁護士資格を持ち、教育関係の非営利活動などに取り組む傍ら、詩集などの執筆に精力を注いだ。

 ただ、政治・外交の実務に携わった経験はゼロで、着任早々、米軍普(ふ)天(てん)間(ま)飛行場(沖縄県宜(ぎ)野(の)湾(わん)市)移設や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉などの課題と向き合うことになる。ケネディ氏がどう対処するか手腕が問われるが、外務省幹部は着任のタイミングについて「難しい局面だ」と話している。

 ■名家出身の人脈

 一方でケネディ氏の強みは、名家出身であるが故の豊かな人脈と、「オバマ氏の耳を持った大使」(ジョン・ケリー国務長官)との評もあるほど親しい大統領との人間関係だ。オバマ氏の有力支援者の一人で、2008年と12年の大統領選勝利に貢献し、大使人事は「論功行賞」との指摘もあるが、「オバマ氏と直接電話で話ができる」ほどホワイトハウスに近い。影響力が強い大使の着任は日本にとっても頼もしい存在となる。

 1978年に叔父のエドワード・ケネディ元上院議員(1932~2009年)と被爆地・広島を訪問。1986年には新婚旅行で奈良と京都を訪れ、今年9月の上院公聴会では「大使になるなら日本以外考えられない」と語ったケネディ氏。岸田文雄外相(56)は15日の記者会見で「(着任が)大きな注目を集めており、日米関係を強化、緊密化するうえで活躍を期待したい」と歓迎ムードを強調した。

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