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安心、満足 顧客本位の不動産取引

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安心、満足 顧客本位の不動産取引

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 顧客本位の不動産取引を実現しようとする試みが広がっている。覆面調査で不動産業者の接客ぶりを評価。複数の業者に売却物件の価格を査定させて選べる無料サービスもある。専門知識や情報に乏しい消費者に比べ、業者が優位とされる格差を解消する狙いがある。

 ことし10月、埼玉県上尾市内の賃貸マンションに引っ越した女性会社員(19)は、首都圏を中心に不動産仲介を展開するタウンハウジングの上尾店を利用した。未成年で赤ちゃんも抱え、マンション管理会社からの審査も厳しい中、希望物件と契約できた。

 女性は「他の業者ならさじを投げたと思うが、親身になって物件を探してくれた。不動産業者の印象が変わった」と感心した様子。

 上尾店の浅原広途店長は「顧客には物件のマイナス面も説明し、納得してもらった上で契約する。知識のない人には、敷金や礼金など取引の基本的な仕組みも丁寧に説明します」と強調する。

 コンテストで接客力向上

 上尾店は、不動産のインターネット検索サイト「ホームズ」の運営会社ネクストが今年初めて実施した不動産店舗のコンテスト「接客グランプリ」で、全国トップの評価を受けた。

 不動産業者の接客力向上を目的に始めたコンテストには、ホームズに物件を掲載する加盟店(約1万1000店)のうち、賃貸業者の238店が参加。店舗周辺に住む調査員が一般客を装い、実際に店に出向いて審査した。

 電話応対に始まり、店舗内の清潔感やスタッフの印象、提案物件への満足度のほか、内覧時の対応やアフターケアまで審査対象は計80項目。メールのやりとりも対象で、厳しくチェックされた。

 ネクストの井上高志社長は「不動産業者を規模や知名度ではなく、客観的な評価に基づき選んでもらうのが狙い。参加業者を増やし業界全体のサービス向上につなげたい」と話す。

 複数査定、一括して比較

 不動産を売りたい人が、同時に複数の業者に売却価格の査定を無料で頼めるサイトもある。

 「不動産価格.net」では、売り主が仲介業者36社の中から最大6社を選び、物件情報や所有者、売却時期などを申請するだけで査定してもらえる。業者への訪問なしで複数の査定額や売却プランを一括して比較できるので、希望に近い売却が望める。営業の勧誘といった面倒もない。

 サイトを運営するゲイトグループの北野勝康社長は「業者主導の不動産取引では競争を通じたサービスの向上は期待できない。顧客自らが業者を選ぶ仕組みが重要だ」と話す。

 不動産仲介大手の野村不動産アーバンネットも顧客に満足してもらえるサービスと店舗づくりをアピールするため、「野村の仲介+(プラス)」という新ブランドを立ち上げるなど、業者側にも顧客本位のサービス意識が高まっているようだ。(SANKEI EXPRESS

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