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【Q&A】タイ反政府デモ 「既得権奪還」へ タクシン派排除狙う
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タイの政治対立の構図=2013年12月8日現在、※タクシン・シナワット元首相、インラック・シナワット首相、アピシット・ウェーチャチーワ前首相、ステープ・トゥアックスバン元首相 ≪きょう「最終決戦」 終結宣言の観測も≫
タイの反政府デモ隊が、11月25日から首都バンコクの中央省庁を占拠した。タイでは過去にも政情をめぐり大規模な衝突が起きている。根深い対立に解決策は見えない。
Q 何が起きたの
A デモ隊は財務省や合同庁舎を占拠した。首相府の敷地に一時入ったり、警察本部に押しかけたりした。これまでに4人が死亡。デモを主導するステープ元副首相に司法当局が反逆容疑で逮捕状を出した。
Q なぜ起きたの
A インラック首相の兄で国外逃亡中のタクシン元首相の帰国を実現させる恩赦法案を、与党が提出したのが引き金になった。11月11日に上院で否決されたが、野党側は政権打倒に持ち込もうと攻勢を強めた。各界の代表者で構成する評議会の創設を掲げている。タクシン氏一派の影響力排除が最大の目標だ。
Q タクシン氏はどんな人
A 2006年のクーデターで失脚するまで首相として低額医療制度など貧困救済策を進め、目を向けられることの少なかった農民ら貧困層から熱烈な支持を受けた。
一方、ビジネス分野での既得権を失った都市部のエリート層や人事で冷遇された公務員を中心に不満が強いんだ。
Q 政府側の対応は
A インラック氏は力による介入は避けると明言し無抵抗状態だったが、首相府を守るため催涙弾の使用や放水に踏み切った。
Q デモは今回が初めてなの
A 反タクシン派は08年、タクシン派政権打倒を掲げて首相府や国際空港を占拠した。反タクシン派のアピシット政権が誕生すると、逆にタクシン派が10年、バンコク中心部を占拠し、軍による強制排除などで多くの死者が出た。11年の総選挙でタクシン派が勝利しインラック政権が誕生した。
Q 日本にも影響がありそうだね
A バンコクには日本人が多く住み、日系企業も多い。08年の国際空港の占拠で輸送がストップするなど、政情に振り回されてきた経験から、今回も影響を懸念する声が出ている。日本人学校も臨時休校した。
Q 解決できるかな
A 国民から敬愛されるプミポン国王が12月5日、86歳の誕生日を迎え、デモはひとまず休止した。そもそも、今回のデモは国民に「既得権の奪還」としか映らず、大きなうねりになっていない。ただ、互いに社会的立場に基づく根強い不信感があり、対立解消は難しいのが実情だ。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪きょう「最終決戦」 終結宣言の観測も≫
タイで続く反政府デモを主導するステープ元副首相は今月(12月)9日を「最終決戦」と宣言し、デモ隊を大量動員して首相府を目指すとしている。ただ、デモ参加者は減少傾向で、これまでと同様に政権打倒の決め手とはなりにくい。宣言は、長期化に利点を見いだせないデモ側の“出口戦略”との見方も出ている。
ステープ氏はこれまでも繰り返し「勝利の日」「3日で終わる」などと宣言し、デモ参加者を集めてきた。最大時には10万人を超えたが、最近の参加者数は減少傾向だ。
タイでは12月10日が祝日のため連休を取る人が多い。参加者を動員しにくい状況で9日を決戦の日としたのは、デモをこれ以上長期化させても利点がないと判断したとみられる。
ステープ氏は、デモ拡大による騒乱状況下で軍を味方につけて介入させるシナリオを描いていたとされるが、軍は「中立を守る。クーデターも起こさない」と明言。政府側もソフト路線を続けている。
反逆容疑などで逮捕状が出ているステープ氏は「勝つか負けるかだ」とし、十分な参加者を動員できなければデモをやめて投降するとしている。チュラロンコン大のスラチャート准教授は「仮に9日に首相府を占拠したとしても、デモ側には次に打つ手がない。ステープ氏はデモ終結を宣言するのではないか」と指摘している。(共同/SANKEI EXPRESS)