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Beatles 秘蔵曲で著作権延命 1963年録音の59曲リリース

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Beatles 秘蔵曲で著作権延命 1963年録音の59曲リリース

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 ビートルズの貴重な未発表音源が、50年の時を経て日の目を見ることになった。音源を所有する英レコード会社のアップルが17日から音楽配信サイトで販売するもので、ロイター通信が13日に報じた。アップルはこの時期にリリースする理由を明らかにしていないが、英BBCは「著作権の延長が狙いであることは明白」としている。欧州連合(EU)は今年から、音楽著作権の保護期間を録音後50年から70年に延長したが、50年経過しても発表されていない録音は延長の対象外となるためだ。ファンにとっては、理由は何であれ、楽しみな朗報と言えそうだ。

 ファン高音質期待

 販売されるのは、主に1963年に録音された59曲。いわゆる「幻の新曲」の類いは含まれていないが、「シー・ラヴズ・ユー」などのヒット曲がこれまで売られたことがない録音バージョンで楽しめる。デモ録音や、レコーディング当日に何回も行ったリハーサル演奏などもあり、「シー・ラヴズ・ユー」は4テイク(4演奏)、デビューアルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」(1963年2月録音、3月リリース)のB面に収録された「蜜の味(テイスト・オブ・ハニー)」は5テイク含まれている。

 また、ビートルズがBBC放送のラジオ番組で生演奏したライブ音源も含まれている。このライブ音源については、40曲(その内37曲が未発表音源)が11月に2枚組CD「オン・エア~ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2」として発売されたが、今回のBBCライブはこれらとはまた別の音源という。

 これらの音源の一部はこれまでも違法に出回っていたが、正規販売の録音は音質が高いのではないかとファンは期待している。

 デビュー曲権利切れ

 EU理事会は2011年9月に、音楽録音物に関する演奏者とレコード製作者の著作権保護期間を、既発表であることを条件に現行の50年から70年(米国では95年)に延長する新法を可決した。理由は「演奏家はたいてい若いころから活動しており、50年では生涯にわたる保護を与えられないことが多い」というもので、今年から発効した。この法律は英国では、制定を強く働きかけた英歌手、クリフ・リチャードさん(73)にちなみ、「クリフ法」とも呼ばれている。

 ビートルズが1962年10月に発表したデビューシングル「ラヴ・ミー・ドゥ」(B面は「P.S.アイ・ラヴ・ユー」)は昨年でリリースから50年がたち、新法の発効前だったため、著作権が切れ、EU圏では誰でも自由にコピー、再利用できる状態になっている。63年に発表された「プリーズ・プリーズ・ミー」は新法に基づき、自動的に2033年まで著作権が保護されるが、この年に録音された未発表の音源は、今年中に発表されない限り、著作権は延長されない状態になっていた。

 新法は1960年代前半にデビューしたアーティストたちの音源に影響を及ぼしており、62年にレコードデビューしたボブ・ディランさん(72)も昨年12月、未発表音源86曲からなるボックスセットを超限定で販売した。

 これから数年は毎年、ビートルズなど歴史的アーティストのレアな未発表音源の“蔵出し”が続くのかもしれない。

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