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「美しいお札」のうれしさ 平松昭子
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「美しいお札」のうれしさ(イラスト:平松昭子さん提供)。http://kimonosnack.blogspot.com
「先生、お月謝袋の向きは、こちらで合っていますか」と、舞の教室に新しく入られた生徒さんに質問されました。表側の月謝という文字が私の方を向いていましたので「大丈夫ですよ」とお答えしました。しかし「袋の天と地を考えると、地の方を先生に向けてしまってもいいのでしょうか」と聞かれ分からなくなってしまいました。
お月謝やお礼を相手の方に渡す時、袱紗(ふくさ)の包み方の順序や扇子に乗せてお渡しする方法は、よく雑誌やWEBサイトで紹介されていますよね。ですが、袋の向きのことはどんなに調べても見つからないのです。
これまでの経験を思い出してみました。どんな時も、袋は表向きで袋の底は相手の方を向いています。私はよく挨拶の仕方など師匠たちに注意されましたが、月謝袋の向きを注意されたことはないので、きっと今まで通りでいいのではないかと思うことにしました。新しい生徒さんにも、そのように説明しました。
「でも、全部意味があるんですよね」とまだ不可思議な様子です。「袋の天地よりも、月謝の文字を上から読めるように、そちらを優先しているのではないかしら」とお答えしました。そう言いながらも、だんだん自信がなくなってきましたので、今度お茶の師範の友人に会ったときに聞いてみよう思います。お茶の世界が一番このようなことを意味と一緒に大切に伝えられています。
さて袋の中のお札ですが、生徒さんによっていろいろです。いつも新札の方もいらっしゃれば、シワシワの方も。私はそんなに気にしない方ですが、きれいなお札をいただくと、とてもうれしくなります。お祝い、お礼、お車代などを新札でいただくと、お金をいただいた恐縮さよりも素直にうれしい気持ちがわきあがり、相手の方にも心から感謝できます。美しいお札が回ってきた時は、私もお礼をする時のために箱にいれてしまっておきます。でもつい、ピンチのときに使ってしまうんですよね…。常に3枚くらいは用意しておける素敵な大人になりたいです。(イラストレーター 平松昭子/SANKEI EXPRESS (動画))