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危険冒しても通学する子供たちに感銘 ドキュメンタリー映画「世界の果ての通学路」 パスカル・プリッソン監督インタビュー

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危険冒しても通学する子供たちに感銘 ドキュメンタリー映画「世界の果ての通学路」 パスカル・プリッソン監督インタビュー

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パスカル・プリッソン監督(中央)とケニヤのサムブル族の少年、ジャクソン(右)と妹のサロメ=2014年3月20日、東京都新宿区(大山実撮影)  通勤・通学に片道だけで2時間もかかれば、考えただけでヘトヘトになるだろう。ところが世の中には考えられないほど、タフな子供たちがいる。インド、ケニア、アルゼンチン、モロッコの秘境や過疎の町でそれぞれ暮らす彼らは、盗賊、性犯罪者、誘拐犯、ときには野生のゾウの群れと遭遇するかもしれない険しい道のりを片道だけで最大4時間かけて毎日学校へ通っており、距離にすれば往復で30~40キロになるそうだ。そんな元気いっぱいの子供たちの通学の様子をカメラに収めたドキュメンタリーがパスカル・プリッソン監督(54)の「世界の果ての通学路」だ。

 教育の重要性認識

 プロモーションで来日したプリッソン監督はSANKEI EXPRESSの取材に応じ、「『世界の果て』とも言える場所に学校があり、しっかりと教育が行われていることを知って、僕はとても驚いたし、危険を冒して通う子供たちの学習意欲にも感銘を受けました。ぜひ作品を撮らねばと考えました」と、映画化に踏み切った理由を説明した。

 人と語ることが大好きなうえ、しかも「世界の果てまで題材となる真実の物語を探しにいくことがライフワーク」と胸を張るプリッソン監督といえども、本作に登場した4組の両親たちに、危険を伴う撮影への協力を仰ぐのは容易ではなかっただろう。プリッソン監督からは意外な答えが返ってきた。「両親たちに共通するのは『教育が極めて大事なもの』と認識したうえで、子供たちを学校へ送り出している点です。子供たちの未来を切り開くには教育が必要との私の考えを、彼らは理解してくれて、出演を誇らしく思ってくれたんですよ」

 出演した子供たちの夢は、1人はパイロット、1人は獣医、2人は医師だった。医療への道を志す子供たちが目立つが、プリッソン監督は「人を助ける崇高な職業という意識があるのでしょう。また、子供たちが暮らす地域では、多くの職業を目にすることはないので、希望する職業は教育者、医師、警察官の3つに集約されるのです」と解説した。また、子供たちの意識にも言及し、「彼らは10歳になる前には『教育こそが将来の暮らしがよくなる唯一の方法だ』と分かるんですよ。教育を受けたことがない両親が、特別な技能を身につけることもなく、日々の暮らしに苦労する姿を目の当たりにして、子供たちは生きていくためにしっかりとした職業を持ちたいと考える。そのためには学校へ行こうとね」と、強い自立心が育まれるプロセスを語った。

 次作も子供を主人公に

 ところで、これほどまでに通学路にこだわるプリッソン監督の小学校時代はどんな通学路を歩いたのだろう。「家の前に学校があったから、通学路などあってないようなものでした。13歳になる私の娘もスクールバスであっという間に学校に着いてしまう。パリは学区が細分化されているから、学校は自宅の近くにあるんですよ」。次回作でも子供たちを主人公にした作品を撮る予定で、現在、インド、モンゴル、キューバとフランスの間を飛び回っているそうだ。4月12日から東京・銀座シネスイッチほかで全国順次公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:大山実/SANKEI EXPRESS

 ■Pascal Plisson 1959年4月30日、パリ生まれ。自然を題材にした映像で、ナショナル・ジオグラフィック誌やBBC放送向けのTVドキュメンタリーを制作してきた。12年間ケニアのマサイ村に通い、世界で初めて部族の映画撮影に成功した2003年「マサイ」が劇場デビュー作となる。2作目の本作はフランスで13年ドキュメンタリー作品の興行成績1位を記録。

 ※映画紹介写真にアプリ【かざすンAR】をインストールしたスマホをかざすと、関連する動画を 視聴できます(本日の内容は6日間有効です<2014年4月16日まで>)。アプリは「App Store」「Google Playストア」からダウンロードできます(無料)。サポートサイトはhttp://sankei.jp/cl/KazasunAR

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