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「いい音を」ニール6億円調達 音楽プレーヤー開発 ネットで1万8000円賛同

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「いい音を」ニール6億円調達 音楽プレーヤー開発 ネットで1万8000円賛同

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音楽アーティスト、ノラ・ジョーンズさん=2004年1月19日、東京都港区(荒木孝雄撮影)  カナダ出身のベテランロッカー、ニール・ヤングさん(68)が考案したCDより高音質の音楽が楽しめる携帯型デジタル音楽プレーヤー「pono(ポノ)」の開発について、インターネット経由で資金を集める「クラウドファンディング」を通じてヤングさんが資金提供を呼びかけたところ、約1万8000人が約620万ドル(約6億3000万円)を出資したことが4月15日、分かった。目標額の80万ドル(約8100万円)を大幅に上回り、クラウドファンディングでは歴代3位の好結果。高音質の音楽配信がビジネスとして成立する可能性が示されたことで、CDが売れず不況に陥る音楽業界には朗報となった。

 アルバム1500円から

 「みなさんは音楽視聴における革命のための舞台作りを助けてくれました」

 ヤングさんは声明でこう喜びを語り、「アーティストが(録音スタジオで)聞いて、感じたクオリティーの楽曲を誰でも楽しめるようになる」と意義を訴えた。

 米CNNテレビや英紙ガーディアン(いずれも電子版)などによると、ポノは手のひらサイズの横長三角柱で、米アップルの同種の製品「iPod(アイポッド)タッチ」の64ギガバイトと同じ399ドル(約4万円)。商品名はハワイ語で「正義」の意味だという。

 使い方は「アイポッド」と同じで、ネット上にある専用の音源配信サービスから楽曲を購入し、専用プレーヤー(ポノ)にダウンロードする。容量は128ギガバイトで1000~2000曲。アルバムの価格は15~25ドル(約1500~2500円)と一般的な配信音源よりは高めだ。

 とはいえ、従来の同種の製品とは大きな違いがある。従来製品はMP3などの圧縮音源を使っていたが、ポノはレコード会社から録音スタジオで製作した直後の新鮮なクオリティーで楽曲の提供を受ける。日本でも流行の兆しを見せる「ハイレゾ音源」と呼ばれる高音質サウンドが手軽に楽しめるわけだ。

 ハイレゾが新たな戦場

 ヤングさんは、音楽配信が広がる中、CDよりも音質の悪い圧縮音源が市場を席巻することに批判的な立場を貫いてきた。そうした怒りから2012年にポノを考案し、50万ドル(約5100万円)を投じて試作機を開発。3月15日に米テキサス州で開かれた毎年恒例の大規模音楽祭で自らポノの概要などを明かし、クラウドファンディングのサイト「キックスターター」で資金集めを開始した。

 圧縮音源に批判的なミュージシャンは多く、ポノにはノラ・ジョーンズさん(35)やエルビス・コステロさん(59)、エルトン・ジョンさん(67)、ジャクソン・ブラウンさん(65)ら多くの大物が賛同している。

 米アップルが03年、音楽映像配信サービス「アイチューンズ・ストア」をスタートさせて以来、音楽配信は圧縮音源をダウンロードして購入する方式が主流となったが、最近はデータを受信しながら同時再生するストリーミング方式による有料音楽サービス「スポティファイ」の大躍進などで音楽配信が新たな転機を迎えたとの見方も多く、王者アップルも安穏としてはいられない状態だ。

 ポノは10月から専用プレーヤーを販売する予定。アップルも6月から、通常より約1ドル高いハイレゾ音源の配信を計画しているともいわれており、今後、ハイレゾ音源の普及が一気に進み、音楽配信ビジネスの新たな戦場となりそうだ。(SANKEI EXPRESS

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