組対５課によると、いずれも容疑を否認し、ＡＳＫＡ容疑者は「今まで覚醒剤を所持したことはない」と供述。ＡＳＫＡ容疑者の尿からは覚醒剤の成分が検出されており、組対５課は使用容疑でも捜査する。

　組対５課は１７日、ＡＳＫＡ容疑者の自宅など都内数カ所を家宅捜索。自宅から十数回分の使用量にあたる粉末が押収され、簡易鑑定で覚醒剤の陽性反応が出た。薬物の使用器具や合成麻薬「ＭＤＭＡ」とみられる錠剤も見つかり、組対５課はＡＳＫＡ容疑者が常習していたとみている。

　逮捕容疑は４月６日ごろと１２日ごろ、港区南青山の栩内容疑者の自宅マンションで、少量の覚醒剤を所持していたとしている。

　ＡＳＫＡ容疑者は福岡県出身。同級生だったＣｈａｇｅさんと「チャゲ＆飛鳥」（当時）を結成し、１９７９年にデビュー。９１年に「ＳＡＹ　ＹＥＳ」、９３年には「ＹＡＨ　ＹＡＨ　ＹＡＨ」と２００万枚を超えるヒット曲を連発。ソロ活動や作詞・作曲家としても才能を発揮した。

　２００９年にデュオとしての活動を休止。１３年１月には活動再開を発表し、１３年８月にライブを予定していたが、ＡＳＫＡ容疑者の体調不良を理由に延期していた。

　週刊誌「週刊文春」が１３年８月、覚醒剤使用疑惑を報じたが、ＡＳＫＡ容疑者はホームページなどで疑惑を否定。１３年１０月に所属事務所が「社会的責任を踏まえた」として活動自粛を発表していた。

　≪疑惑から９カ月　地道捜査で物証≫

　週刊文春の報道でＡＳＫＡ容疑者の覚醒剤使用疑惑が表面化した昨年（２０１３年）８月以降、警視庁組織犯罪対策５課は関心を持って情報収集を進めていた。疑惑そのものは立件に至らなかったが、新たに知人の栩内（とちない）香澄美容疑者宅で覚醒剤を隠し持っているとの情報を入手し、逮捕にこぎ着けた。

　ＡＳＫＡ容疑者は５月１７日午前７時半ごろ、栩内容疑者の自宅マンションを１人で出てきたところを捜査員に任意同行を求められた。落ち着いた様子で素直に応じたといい、同行先の東京湾岸署で逮捕された。

　組対５課は昨年（２０１３年）８月、週刊文春が「覚醒剤を吸引している様子を撮られ、暴力団関係者に脅されている」と報じたのを機に情報収集を始めていた。

　ただ、ＡＳＫＡ容疑者は一連の記事で暴力団関係者との接触や別の薬物の摂取は認めたが、覚醒剤使用を否定。路上で職務質問されるなどして、所持や使用の現場を押さえられることもなく、組対５課は「覚醒剤の使用器具や、使用している場面を写した映像など、確かな証拠がなければ動けない」（捜査幹部）として立件を一時断念した。

　その後、情報提供などに基づき、ＡＳＫＡ容疑者が栩内容疑者のマンションに通い詰めていることを突き止め、覚醒剤所持の物証を入手。４月６日と１２日にＡＳＫＡ容疑者がマンションを訪れたのを確認し、覚醒剤が室内にあったとみられる日付と合致したことから逮捕に踏み切った。（ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）

　≪Ｃｈａｇｅさん「頭の整理つかない」≫

　ＡＳＫＡ容疑者が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕されたことを受け、Ｃｈａｇｅさん（５６）は５月１７日、公式サイトを通じて「突然のことでまだ頭の整理はつきません」などとするコメントを発表した。

　Ｃｈａｇｅさんは「今日までＡＳＫＡの回復を待ってきましたが、このような事態になり大変残念」としたうえで、「突然のことでまだ頭の整理はつきませんが、今は現在開催中のファンクラブイベントに僕は全力を注いでいきます」と表明。ファンや関係者に「ご心配ご迷惑をお掛けしたことを心からおわび申し上げます」と謝罪した。

　≪所属事務所「深くおわび」≫

　ＡＳＫＡ容疑者の逮捕を受け、所属事務所は５月１７日、公式サイトで「ファンの皆さま、また関係各位に多大なるご心配をおかけしましたこと、深くおわび申し上げます。現在は事実関係を確認中であり、今後の対応については改めて発表させていただきます」とのコメントを発表した。（ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）

　【「ＣＨＡＧＥ　ａｎｄ　ＡＳＫＡ」活動の経過】

１９７９年　　　　　「ひとり咲き」でデビュー

１９８０年　　　　　「万里の河」をリリース

１９９１年　　　　　「ＳＡＹ　ＹＥＳ」が記録的なヒット。ＡＳＫＡは「はじまりはいつも雨」を発表

１９９３年　　　　　　「ＹＡＨ　ＹＡＨ　ＹＡＨ」が社会現象に

２００９年　　　　　　活動休止を発表

２０１３年１月　　　　活動再開を発表

２０１３年１０月　　　薬物不正使用疑惑報道を受けＡＳＫＡが活動自粛

２０１４年５月１７日　ＡＳＫＡが覚せい剤取締役法違反で逮捕