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彼は「確かにあんなだった」と 映画「マンデラ 自由への長い道」 プロデューサー アナント・シンさんインタビュー
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インド系3世のため、かつて故郷・南アフリカ共和国では「非白人」に分類され不当な扱いを受けた映画プロデューサー、アナント・シン(57)。反アパルトヘイト(人種隔離政策)闘争に身を投じ、国内で初めて反アパルトヘイト映画「Place of Weeping」を世に送り出したタフな男だ。
そんなシンが、闘争の指導者で、27年に及ぶ獄中生活を経て、民主的な選挙で初代黒人大統領に選出されたネルソン・マンデラ(1918~2013年)の著書「自由への長い道 ネルソン・マンデラ自伝」の映画化に動いたのは25年前のこと。「獄中のマンデラと頻繁に手紙をやり取りする中で、マンデラは私を信頼し、映画プロデューサーに指名してくれた。私は南アの国民として自伝は世界の人々に語り継ぐべきものだとの思いをいっそう強くしました」。マンデラの死後まもなく、シンは映画「マンデラ 自由への長い道」(ジャスティン・チャドウィック監督)の完成にこぎつけた。
作中では、弁護士活動のかたわら、闘争に力を注いだマンデラ(イドリス・エルバ)の青年時代から、まるで虫けらのような扱いを受けた獄中生活を経て、1994年の民主選挙で大統領に就任するまでの人生が、彼を支えた2番目の妻、ウィニー(ナオミ・ハリス)ら家族との愛憎を交えて描かれている。主題歌「オーディナリー・ラブ」はU2が本作のために書き下ろしたもので、先の米アカデミー賞で歌曲賞にもノミネートされた。
映画化を持ちかけた時点で、シンは「もしかしたらアパルトヘイトは近い将来、本当に撤廃されてしまうのではないか」と浮足だつ社会のムードに希望を持っていた。「内外でアパルトヘイトへの抗議運動が起こり、南ア政府に圧力がかかった結果、潮目が変わったからです。25年前は撤廃に向けて大きく動き出した節目の年でもありました」
マンデラからは「映画化作業への着手は、あなたが納得できる材料がすべてそろってからで構わない。私は真実の物語を作ってもらいたいから、いつまでも待っているよ」と念を押された。実際、脚本執筆、監督・役者選び、撮影、編集…と出来上がるまでに16年を要した。マンデラは完成を待たずに死去したが、撮影終了後、シンは全編の映像をラフにつないで見せたそうだ。「特に青年時代の描写を熱心に見ていました。当時の愛車、自分が育った村の風景が登場すると、マンデラは『確かにあんなだったなあ』とつぶやき、とても懐かしそうでしたよ」。5月24日、全国公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:寺河内美奈/SANKEI EXPRESS)
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