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中国の“ハリポタ魔法学校”に批判の声 氾濫する「コピー建築」
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中国・河北省石家荘市
中国・河北省で建設中の美術大学の建物が、大ヒット映画「ハリー・ポッター」シリーズに登場する魔法魔術学校「ホグワーツ」にそっくりだとネットなどで評判になり、物議を醸している。
河北省では、エジプトの遺跡スフィンクスの実物大構造物がお目見えし、エジプトの抗議で取り壊しが決まったばかり。大学の学長は“コピー”を否定しているが、あきれ顔で報じる欧米メディアだけでなく、中国中央電視台(CCTV)も「今秋からここで勉強を始める学生たちは、この新しい夢の世界のキャンパスで、ちょっとした魔法を体験するだろう」と、皮肉タップリに伝えている。
報道によると、この建物は河北省の省都、石家荘市で開校を予定している私立の「河北美術学院」のキャンパスの一部。総工費は約4億元(約65億円)。今後、周囲に大聖堂やモスク、寺院、アートギャラリーなどを建設し、10年間で完成させる計画だという。
既に姿を現した建物の外観は、おなじみのそびえ立つ時計台(高さ100メートル)など映画で見たホグワーツとそっくりだ。
これに対し、書道家兼画家として知られるこの美大の学長、ジェン・ジョンイー氏はCCTVに対し、自らと他の教授陣が設計したと明かした上で、「欧州のゴシック建築をベースにしてはいるが、西洋のお城のコピーではない」と述べ、模倣を否定。「学生たちに素晴らしい環境で学んでもらうことが目的だ」と説明した。
もっとも、報道では「河北省への観光旅行客誘致の起爆剤としての役割も期待されている」といい、映画の舞台を再現したテーマパークとして、多くの人がこの美大を見学に訪れることになりそうだ。
ハリー・ポッターの映画の場面は、英国にある有名な城「アニック城」で撮影されたが、ホグワーツの外観はほとんどがコンピューターグラフィックスで描かれている。中国はこうした特殊撮影技術を使わず、ホグワーツの再現に挑んでいるようだ。
河北省では実物大のスフィンクスが物議を醸したばかりとあって、ロイター通信や米紙ウォールストリート・ジャーナル、英紙デーリー・メールなどの欧米メディアがこの美大を紹介。ネットでは「コピー、コピー、コピー。彼らはオリジナルを作ることを忘れてしまったようだ」といった書き込みが目立つ。
中国では、パリのエッフェル塔やワシントンのホワイトハウスなどの「コピー建築物」が各地に氾濫。米国の歴代大統領4人の顔が彫られたラシュモア山のほか、オーストリア・アルプスの山麓にある世界遺産の村ハルシュタットを丸ごと再現した施設まで登場した。
ただ、中国国内でもこうした「コピー文化」について、「自らの文化を辱める行為」として批判的な声が増えている。国営新華社通信も今年3月、「不気味なコピー建築物」の氾濫に警鐘を鳴らす記事を配信している。(SANKEI EXPRESS)