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ブラジルW杯開幕 攻撃「貫く」 ぶれない本田「叩くのは終わってから。一緒に戦って」

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ブラジルW杯開幕 攻撃「貫く」 ぶれない本田「叩くのは終わってから。一緒に戦って」

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ハンドボール風に手でボールを扱うミニゲームで指示を出す本田圭佑(けいすけ)。心身ともに、完全に戦闘態勢へとスイッチが入った=2014年6月11日、ブラジル・サンパウロ州イトゥ(山田喜貴撮影)  サッカーの第20回ワールドカップ(W杯)ブラジル大会は6月12日(日本時間13日)、サンパウロでの1次リーグA組のブラジル-クロアチア戦で開幕。14日(日本時間15日)に1次リーグC組でコートジボワールとの初戦を控えた日本代表は11日、サンパウロ北西部のベースキャンプ地イトゥで約2時間練習し、守備の戦術を重点的に確認した。練習後にはチームの柱であるFW本田圭佑(けいすけ、28)=ACミラン=が報道陣の取材に応じ、熱い思いを激白。「叩くのは大会が終わってからにしてほしい。大会中はメディアとしてではなく、日本人として日本代表を応援してほしい」と異例のお願いをした。

 ここまで本調子にはほど遠く、起用法も含めて本田に関しての論争が巻き起こる中でのインタビューだったが、大一番を前にした本田にぶれたところはなかった。

 南ア大会とは違う

 ドログバ(36)やヤヤ・トゥーレ(31)ら前線に力のある選手がそろっているコートジボワールの印象を問われると、「世界最高峰の選手がFWとMFにいる。4、5人世界最高峰といってもいいんじゃないかな。リスペクトした上で、恐れることなく自分たちのスタイルを貫くということが今回の戦いの基本」と語り、難敵であることを認めた。

 その上で、「相手の良さを消すということは一つの作業としてある。ただ、(そのために)自分たちの良さが消えるというなら、どちらを優先するか。そこはチームとしての統一感は見失っていない。自分たちの道はみえている」と言い切った。ボールの保持時間を長くして主導権を握り、打ち合いをも制する攻撃的サッカーを貫く決意表明だった。そこには、相手との力関係を踏まえて大会直前になって戦術を超守備的に切り替えた前回の南アフリカ大会とは違った姿を見せる、という強い思いがにじんだ。

 異例のお願い

 この日、インタビューの前には居残りでFK練習を繰り返すなど、本田は「自分の長所を出す作業」に集中した。裏腹ではあるが「今のチームは自分だけではなく他の選手も点を取れる力がある。それだから自分の作業に集中できる。それがチームへの信頼の証し」と仲間への思いを口にした。

 冒頭に触れた本田らしくない“異例のお願い”は、弱気とも受け取られかねないが、チームを勝たせたい一心の表れなのだろう。「メディアの皆さんとは持ちつ持たれつなんで、感謝している時もあれば腹を立てている時もある。それはお互い様でいいんじゃないかと思う。ただ、今からはね、我々の一員として一緒に戦ってほしい」。1次リーグ突破には、日本総動員体制で臨むことが不可欠だと、訴えているかのようだった。

 世界驚嘆させられるか

 攻めを貫く意気やよし。アルベルト・ザッケローニ監督(61)が掲げるサッカーを信じ、日本の将来も見据えた理想のサッカーをW杯という大舞台で存分に試してほしい。ただ、1次リーグの命運を左右するコートジボワール戦では、絶対に先に失点しないことを心掛ける必要がある。日本代表は直近の強化試合2試合を逆転でものにしたが、選手の出入りが激しく後半にメンバーが落ちるのが常の強化試合とは異なり、W杯本戦では逆転は起きにくい。過去のW杯のデータでも、逆転勝ちは20%余りに過ぎない。

 入りの15分を慎重にいき、先取点を奪って流れを引き寄せる。そして、連戦連勝で世界を驚嘆させる。その時こそ、改めてビッグマウスで鳴る本来の本田らしい言葉が聞けるに違いない。(SANKEI EXPRESS

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