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政治
【集団的自衛権】行使8事例念頭に法整備進める 自衛隊法、行動類型の新設検討 国会事前承認を明記
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米海兵隊との共同訓練で、ボートで上陸する陸上自衛隊の隊員=2014年6月30日午後、米ハワイ州の海兵隊カネオヘ基地(共同) 安全保障制度を見直す政府の閣議決定を受けて、(1)有事手前のグレーゾーン事態(2)国際協力活動(3)集団的自衛権-の3分野で安全保障政策が大きく変わる。与党協議で最大の焦点となった集団的自衛権を実現するまでの過程はどのようなものになるか。
「関連法を整備しなければ、具体的な活動を行えず抑止力は高まらない。立法作業は極めて重要だ」
小野寺五典(いつのり)防衛相(54)は7月1日夜、防衛省に法整備の検討委員会を設置し、作業を急ぐよう指示した。
最大の課題は集団的自衛権の行使だ。
政府が与党協議の際に示した「事例集」では8事例が集団的自衛権にあたる。自衛隊が米艦を防護する4事例と、強制的な停船検査(臨検)、米国に向かうミサイルの迎撃、海上交通路(シーレーン)防衛に絡む「機雷掃海活動」「民間船舶の国際共同護衛」だ。
与党協議では公明党の反発が強かったが、政府関係者は「公明党が反対や慎重だった事例の法整備ができないということはない。全ての事例に対応できるよう法整備を進める」と明言する。
政府が1日に閣議決定した文書では、新たな「武力の行使の3要件」を盛り込んだ。「わが国と密接な関係国に武力攻撃が発生し、国民の権利が根底から覆される明白な危険がある」ケースが生じ、外交面での努力で事態を収拾できず、「他に適当な手段がない」場合に、集団的自衛権を行使できるとした。
念頭に置いているのは、朝鮮半島有事や、中東地域で機雷がまかれた場合などのシーレーン防衛だ。「わが国と密接な関係国」には同盟国である米国のほか、韓国やオーストラリア、クウェートも含まれる。集団的自衛権を行使する地理的な範囲は、わが国の領土・領海・領空に限らない。
集団的自衛権に絡む法整備では、自衛隊法改正がメーンとなる。自衛隊法には個別的自衛権を発動するための「防衛出動」といった行動類型があるが、これとは別に、「集団防衛出動」や「集団自衛出動」といった行動類型の新設を検討している。武力攻撃事態法などの法改正も必要だ。
ただ、法整備が実現しても、集団的自衛権の行使がすぐにできるわけではない。閣議決定の文書では「原則として事前に国会の承認を求めることを法案に明記する」と記している。
具体的な手順はこうだ。政府は集団的自衛権に基づき自衛隊に出動を命じることを「対処基本方針」に記し、閣議決定する。その後、国会の承認が得られれば、首相が自衛隊の出動を命令することになる。
一方、「武力の行使」に当たらない国際協力やグレーゾーン対応は、法整備の仕方や実際の手続きも異なる。自衛隊が現在行っている国連平和維持活動(PKO)では、遠方にいる非政府組織(NGO)職員や他国部隊を救出する「駆け付け警護」が可能になる。政府は、PKO協力法をベースにした新法に、これを可能にする規定を盛り込む方向で検討を始めている。(SANKEI EXPRESS)
(2)と(3)は従来の「自衛権発動の3要件」と趣旨は変わらない。(1)は、集団的自衛権の限定的な行使を可能にするため「根底から覆される」の部分を1972年の政府見解から引用した。
2014年
7月6~12日 安倍晋三首相、豪州など3カ国歴訪
7月下旬 首相、ブラジルなど中南米諸国歴訪
8月15日 終戦の日
8月末 2015年度予算の概算要求締め切り
9月29日? 臨時国会召集
9月末 自民党役員任期満了
11月10日~ APEC首脳会議(北京)
12月(年末) 消費税率10%への引き上げ判断
12月 日米防衛協力のための指針再改定