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政治
北ミサイル2発発射 「韓国を威圧」 政府が厳重抗議 日朝協議は継続
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北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、報道陣の質問に答える安倍晋三(しんぞう)首相=2014年7月13日午前10時48分、首相公邸(共同) 政府は7月13日、北朝鮮南西部の開城(ケソン)付近から13日午前1時20分ごろ、弾道ミサイル2発が北東方向に向け発射されたもようだと発表した。防衛省はいずれも約500キロ飛んだ後、日本海に落下したと推定している。安倍晋三首相(59)は、ミサイル発射は国連安全保障理事会決議違反だと批判し、北朝鮮に厳重抗議したことを明らかにした。拉致問題をめぐる日朝政府間協議には影響を及ぼさないとして、協議を継続する考えを強調した。
首相は拉致問題に関し「しっかり解決に向けて取り組んでいく」と公邸前で記者団に強調。菅義偉(すが・よしひで)官房長官(65)も官邸で「北朝鮮の特別調査委員会が立ち上がったので、調査を慎重に見極めていきたい」と述べた。
政府はミサイルの飛行距離や発射角度などから「日本向けではない」(官邸筋)と分析する一方、発射頻度が高まっているとして、防衛省を中心に情報収集と警戒監視に当たる方針だ。
米国から帰国した小野寺五典(いつのり)防衛相(54)は「韓国に対しての威圧だ。米側との協議では、米韓合同軍事演習をかなり意識しているのではないかとの評価がある」と、防衛省で記者団に語った。
日本政府内には、日朝協議を続ける日本の足元につけ込み「発射の既成事実化を狙っている」(政府関係者)と警戒する声もある。
発射を受け、首相は(1)米国、韓国など関係国と連携した情報収集・分析(2)航空機・船舶などの安全確認の徹底(3)国民への迅速・的確な情報提供-を関係省庁に指示した。航空機や船舶への被害は確認されていない。
北朝鮮は(7月)9日早朝にも短距離弾道ミサイル「スカッド」とみられるミサイルを平壌の南方約100キロから北東方向に向け発射。ミサイルは最大で約500キロ飛んで日本海に落下した。防衛省によると、北朝鮮が弾道ミサイルを日本海に向けて発射したのは、今年に入って5回目。
≪能力誇示「いつでもソウル攻撃できる」≫
北朝鮮による短距離弾道ミサイル発射は、韓国への米空母寄港など米韓の対北軍事態勢強化や、中国に接近する韓国への牽制(けんせい)の狙いがうかがえる。7月13日の発射地点は、最近のミサイル発射の中では最も韓国に近い。“至近距離”からの発射で、韓国に対する強い不快感を示したといえそうだ。
北朝鮮は今回、南部の開城(ケソン)北方からミサイル2発を発射。韓国国防省筋によると、軍事境界線から約20キロの地点で、北東方向に約500キロ飛行し、北朝鮮の本土を横断するかたちで日本海に落下した。韓国への攻撃用で、「移動式の発射車両からの発射」と韓国軍当局ではみている。
北朝鮮は(7月)9日にも、軍事境界線から約40キロ離れた黄海道付近から同様のミサイルを発射した。飛行距離から、発射方向を南方に向ければソウルはもちろん、韓国の大部分を射程に収めるものだ。日本海にまで到達した距離の正確さに加え、発射地点を移動できる機動性、奇襲能力を示し“いつでもソウルを攻撃できる”ことをあえて見せつけた。
北朝鮮は6月30日に、米韓が8月に予定する合同軍事演習の中止を求める「特別提案」を出した。また、米空母ジョージ・ワシントンが最近、韓国の釜山(プサン)に入港したことに反発。北朝鮮の国防委員会政策局が12日には韓国に「正しい選択」を求める談話を発表した。
北朝鮮はこれまで、東海岸の元山(ウォンサン)付近からのミサイル発射を繰り返してきた。しかし、最近は南西部に場所を移している。短距離ミサイルながら中国から不快感を招く可能性もある。今月(7月)上旬、ソウルでの中韓首脳会談では北朝鮮の核問題が話し合われ、北朝鮮は暗に不満を示した。中国を刺激することも承知したうえで、北朝鮮はミサイル発射を強行したもようだ。
一方、北朝鮮は最近、9月に韓国で始まる仁川(インチョン)アジア大会に選手団と応援団を派遣することを表明し、事前協議を韓国に呼びかけた。韓国への軍事的な挑発の一方で、対話攻勢も依然、続けており、硬軟取り交ぜて韓国への揺さぶりを展開している。(ソウル 名村隆寛/SANKEI EXPRESS)
≪横田滋さん「拉致問題は別」≫
北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさん=失踪当時(13)=の父、滋さん(81)は7月13日、北朝鮮によるミサイル発射に関連し「それがあるから(拉致問題を)解決できないというのはちょっと筋違い」と述べた。川崎市の福田紀彦市長(42)と面会後、記者団の取材に応じた。
政府はミサイル発射に厳重抗議する一方で、拉致問題をめぐる日朝政府間協議は継続する考えを示している。滋さんは「ミサイルを撃ったら交渉できないと日本側から(協議を)延期したこともあった。(政府が)少しは変わってきたと思う」と述べた。
滋さんと母、早紀江さん(78)は川崎市在住。福田市長は13日、スイス訪問から帰国し、夫妻が拉致問題解決に向けて協力を要請する内容を記した親書を、(7月)10日にジュネーブの国連人権高等弁務官事務所に提出したことを報告した。(SANKEI EXPRESS)