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世界文化賞にM・レイス氏ら5人
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フランス南西部にあるアトリエで、自身の作品について語る絵画部門受賞者のマルシャル・レイス氏=2014年5月2日、フランス・ベルジュラク近郊のモンバジヤック(小野淳一撮影) 世界の優れた芸術家を顕彰する「高松宮殿下記念世界文化賞」(主催・公益財団法人日本美術協会=総裁・常陸宮殿下)の第26回受賞者が決まり、7月16日、高松宮殿下記念世界文化賞国際顧問の中曽根康弘元首相(アジア委員会委員長)が東京・内幸町の日本プレスセンターで記者会見を行い、発表した。
今回の受賞者は、絵画部門=マルシャル・レイス(78)〈フランス〉▽彫刻部門=ジュゼッペ・ペノーネ(67)〈イタリア〉▽建築部門=スティーヴン・ホール(66)〈アメリカ〉▽音楽部門=アルヴォ・ペルト(78)〈エストニア〉▽演劇・映像部門=アソル・フガード(82)〈南アフリカ〉-の5部門5氏。受賞者はこれで計134人になる。エストニアとアフリカからは初めての受賞。
発表はパリ、ローマ、ロンドンなど世界5都市でも行われ、パリのケ・ブランリー美術館で行われた記者会見には日本美術協会総裁の常陸宮殿下と同妃殿下が臨席された。
発表会では主催者を代表して日枝久・日本美術協会会長が「芸術は人種と国境の壁を越える共通言語。その『人類共通の宝』の一層の発展と振興に努め、世界の平和と繁栄に寄与していきたい」とあいさつ。絵画部門受賞者のレイス氏が「私は精神の自由を大切にしてきた。同じように長い時間をかけ、何かを伝える努力をしている日本や世界の芸術家に敬意を表したい」と喜びを語った。
また、次代を担う若手芸術家を育成する「若手芸術家奨励制度」の第18回対象団体には、アフリカ西海岸にあるベナン共和国の「ジンスー財団」が選ばれ、日枝会長から「ジンスー財団」の代表に表彰状と奨励金500万円が贈られた。
授賞式典は10月15日、東京・元赤坂の明治記念館で行われる。
≪ポップアート界の巨匠≫
□絵画 マルシャン・レイス(Martial Raysse、78、フランス)
油彩画も描けば、ネオンサインを使った立体オブジェやブロンズ彫刻も作り、さらには映画制作にも携わるなど、表現方法は多岐にわたる。そんな多才なポップアート界の巨匠は、独学で美術を始めたのだという。
12歳のときに絵画と詩を作り始め、19歳で最初の詩集を発表。21歳の年に、生まれ故郷近くの南仏ニースで開催された現代作家展にモビールと詩を書いたオブジェを出品し、注目されるようになった。
その翌年の個展では、著名な詩人で評論家でもあるジャン・コクトーから絶賛される。さらに前衛芸術の世界では名高いイヴ・クラインやアルマンといった作家と出会うと、1960年には大量生産品や廃棄物を使って美術品を作り出す前衛芸術運動「ヌーヴォー・レアリスム」の宣言に署名。彼らとともに、当時の前衛芸術の中心であるニューヨークやパリに対抗することを標榜(ひょうぼう)し、ニースを舞台に活動した。
しかし、大都会ニューヨークの魅力には抗しきれず、61年にニューヨーク近代美術館で行われた「アッサンブラージュ展」に、日常生活の廃棄物に美を求めて立体作品を作っていたアルマンと参加する。その名を一躍有名にしたのは、64年にニューヨークの画廊で発表された「メイド・イン・ジャパン」という作品だ。アングルの名画「グランド・オダリスク」を赤や緑などの強烈な色彩でアレンジ、画面にハエを貼り付けたりすることで伝統絵画の気取りを笑ってみせたのである。
いまや、フランスの現存する作家では画家で彫刻家でもあるピエール・スーラージュをもしのぐ価格で作品が取引されているといわれ、5月からはパリのポンピドー・センターで回顧展も行われている。(SANKEI EXPRESS)