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社会
【まぜこぜエクスプレス】Vol.18 被災地に花火 地域を再生 「LIGHT UP NIPPON」の高田佳岳代表
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「LIGHT_UP_NIPPON」で、打ち上げられた花火を、笑顔で見上げる子供たち(提供写真) 2011年8月から、東日本大震災の被災地で花火を打ち上げる活動を行っている「LIGHT UP NIPPON」。花火大会は、コミュニティー再生に役立っている。代表の高田佳岳さんに話を聞いた。
震災があった年の夏、「被災地に花火を上げようとしている人がいる」と耳にした。私は当時、被災した障がい者施設を支援するため、障がいのあるアーティストの作品巡回展を企画していた。悲しみに暮れ自粛ムードが漂う日本で、そんなイベントが可能なのか、話を聞いてみたくて、噂の高田佳岳さんを訪ねた。
高田さんは大手広告代理店で働く営業マンだった。学生時代に過ごした岩手県大槌町のことが気になり、「自分の専門分野で力になれることはないか」と思っていたとき、「東京湾大華火祭」の中止が発表された。「残った花火はどうなるのか。被災地を元気づけるために、東北で花火を上げたい」と思いつく。すぐに広告代理店営業マンのスキルを生かして「LIGHT UP NIPPON」の企画書をつくり、大槌町に「花火をあげませんか?」と持ちかけたのだ。「この大変な時に…」と批判もあったが、目をキラキラさせ「花火あがるの?」と喜ぶ子供たちに勇気づけられた。
他の地域でもニーズがあると確信した彼は被災地を訪ね歩き、各地に実行委員会を立ち上げていく。東北の人たちにとって夏は祭りや盆踊りがあり家族が集まる大切な機会。ところが神社が壊れたり、みこしが流されたりして祭りができなくなっていた。「コミュニティー再生のためにも、花火をきっかけに祭りを復活させたい」と彼は考えたのだ。
そして企業や個人から7400万円の資金を集め、震災から5カ月後の8月11日、岩手、宮城、福島の10カ所で、計2万3000発の花火を打ち上げた。「人生であんなに『ありがとう』って言われたのは初めて。本当にうれしかった」
震災から4度目の夏を迎える。支援イベントなどで顔を合わすことはあるが、あれからじっくり話を聞いたことがなかった。どうやら、高田さん自身の人生も大きく変化したようだ。
会社を辞め、現在はLIGHT UP NIPPONの活動のほか、赤坂で旬の海産物を提供する飲食店「月々」も経営する。東京水産大学出身の高田さん。
「海のこと、魚のことなら誰にも負けない自負がある」。震災後に海底清掃のボランティアもやっていたため、地元の漁師からの信頼を得て、たびたび漁にも出ている。
今の目標は、取引を通じて復興を支援するフェアトレードの実現。100円に買いたたかれる魚を200円で仕入れる。「安く買い高く売るのではなく、高く買い適正な値段で売る」。月々はフェアトレード実践の場でもあるのだ。
「花火は広告マンとしてできること。自分が持つ海のノウハウも役に立てていきたい」と語る笑顔はとびきり明るい。
今年8月11日には13カ所で、鎮魂と希望のつまった花火が打ち上げられる。(女優、一般社団法人「Get in touch」理事長 東ちづる/SANKEI EXPRESS)