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「白人キャプテン」、映画版も終了?

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「白人キャプテン」、映画版も終了?

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 星条旗をモチーフにした青と赤のスーツを着込んだ白人ヒーローが活躍する米人気漫画「キャプテン・アメリカ」。出版元のマーベル・コミックスは10月スタートの新シリーズから主人公を黒人キャラクターに交代させる方針を打ち出しているが、これに伴い現在の主人公であるスティーブ・ロジャースの活躍を描いた人気映画シリーズも2016年公開の第3作で終了するのではないかとの観測が出ている。マーベルは「主役交代はコミックのみで、映画シリーズには影響しない」としているが、映画の主人公も黒人ヒーローに代わる可能性を指摘する米メディアもある。

 コミックは黒人に

 「原作のある映画シリーズでは、あるキャラクターの物語が終わり、別のキャラクターの物語が始まる場面は原作に沿う場合もあるだろう。いかなるバトンタッチを行うか、そこがまさにおもしろいところだ」

 米MTV(電子版)によると、「キャプテン・アメリカ3」の監督を務めるアンソニー・ルッソ氏は取材に対し、原作を踏襲して白人であるロジャースの物語を完結させる可能性に言及。MTVは8月27日付ニュースで、「『キャプテン・アメリカ3』でロジャースの物語は終わるのか」と題する記事をサイトにアップした。

 キャプテン・アメリカは、1941年にスタートした米の長寿コミックシリーズ。22年にニューヨーク・マンハッタンにアイルランド移民の子として生まれたロジャースは徴兵基準を満たせないほどひ弱な青年だったが、愛国心から軍の人体実験に志願し、41年に超人であるキャプテン・アメリカとして生まれ変わった。

 第二次世界大戦ではナチス・ドイツを相手に活躍。戦後、国内に潜む共産主義者との戦いを描いたシリーズが作られるなど、かつての米国の価値観を象徴するヒーローだった。

 「象徴」でなくなった

 現在まで続くコミックではロジャースが行方不明になったり、“暗殺”されたりしてたびたび主役交代が行われてきたが、新主人公はいずれも白人で、最後にはロジャースの生存が判明して主役に返り咲くストーリーが展開されてきた。マーベルによると、新シリーズでキャプテン・アメリカに扮(ふん)するのは69年からシリーズにロジャースの仲間として登場するサム・ウィルソン。マーベルの編集者、トム・ブレブールト氏は、ロジャースは一歩下がってウィルソンの「戦略アドバイザー」として作品には登場し続けるとしている。

 ハーレムで生まれ育ち、かつて犯罪に手を染めていたウィルソンも当然、特殊能力を持つヒーローだ。主要キャラクターの「ファルコン」に変身し、鳥を自由に操り、自らも翼のついた特殊スーツを着て空を飛び回る。

 ブレブールト氏は「彼はロジャースと違い、犯罪、貧しさ、不平等といった21世紀の問題の中で育った近代人なんだ」と説明。移民の進展などで白人がもはや「象徴的アメリカ人」とはいえなくなる中で、より共感を呼べる主人公に交代する意義を強調する。

 マーベル側は、映画シリーズに影響を与える意図はないとしているが、原作が抱える問題は映画とて同じだ。4月に全米公開された第2作「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」ではファルコンが主要キャラクターとして初めて映画に登場した。監督は第3作で再びメガホンを取るアンソニーとジョーのルッソ兄弟。主役交代の伏線という臆測は消えない。(SANKEI EXPRESS

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