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【クレモンティーヌのパリ便り】子供たちが「未来を選択できるように」
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「息子の学校に行ってきました!」=2013年2月19日、フランス・首都パリ(クレモンティーヌさん提供) 皆さん、お元気ですか? こちらフランスは今週から新年度が始まりました。息子は15歳になり、日本で言うところの高校生。娘は21歳の大学2年生になります。
今日は皆さんに、私の感じる日仏の子育てへの考え方の違いについてお話ししたいと思います。フロイトはこう言っています。「子供が遊ぶ動機は、大人になりたいということである。この願望は子供を教育する上で重要になる」
フランスでは基本的に子供は「不完全な大人」として扱われます。例えば日本でよく見かける、レストランで騒ぐ子供はフランスには存在しません。レストランはあくまでも大人が行く場所ですから! 家庭でも子供と大人は別々にディナーをいただきます。夫婦と子供は寝室も別、添い寝の文化はありません。この添い寝については日仏カップルの間で頻繁に議論のテーマになっているようです。子供の小さい間は仕事を辞めるという考えはないので、母親は子供が小さい頃から「ギャルドリー」と呼ばれる乳児院か、ベビーシッターを利用し、仕事と子育てを両立します。
日本では小学校にあがる前の子供たちはまさに「王様」扱いされているように思います。学校に入るとピアノやダンスなどの習いものに、良い学校に入るための塾など、大人顔負けのスケジュールをこなしますよね。親も子供もストレスを感じないのでしょうか? フランスでは基本的に子供はもっと自由です。親たちは、一般的な学歴よりも子供が将来自力で生きていけるように子供の特性を伸ばすことを重要視します。
近年フランスの25歳以下の若者の失業率は25%以上と非常に高い上に、日本のように「新入社員」を雇用する慣習がなく、会社は「即戦力」をもとめます。一般的に学生たちは「スタージュ」と呼ばれる見習いとして職を得て、キャリアを積んで一人前の社会人になっていきます。この現状を踏まえ以前は主流であった「学歴至上主義」が影を潜め、特殊技能を身につけるなど自分の進む道を早く決める子供たちが増えています。
また大学まで学費は無料です。以前、娘が日本の大学への留学を希望していたときに調べた日本の大学の学費の高いことには驚きました。学習する権利は、裕福な家庭の子供にしか与えられない、もしくは子育てに莫大(ばくだい)なお金がかかるから、たくさん子供を持つことを諦めるしかないのでしょうか?
子供は未来への可能性です。全ての子供に自分の未来を選択するチャンスを与えるのが社会の責任ではないでしょうか?(フランス人アーティスト クレモンティーヌSANKEI EXPRESS)