SankeiBiz for mobile

「イスラム国」操縦士殺害映像 ヨルダン、有志連合で増す重要性

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

「イスラム国」操縦士殺害映像 ヨルダン、有志連合で増す重要性

更新

インターネット上で公開されたモアズ・カサスベ中尉(手前)とされる男性の映像=撮影日時、場所不明(ロイター)  イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が拘束中のヨルダン軍パイロット、モアズ・カサスベ中尉(26)を殺害したとする映像が3日夜(日本時間4日未明)、インターネット上に掲載された。

 ヨルダン政府は報復として4日未明、イスラム国が釈放を要求していたサジダ・リシャウィ死刑囚を含む2人を処刑した。対イスラム国有志連合に参加するヨルダンの重要性が増しており、米国はヨルダンへの支援強化を発表した。

 女死刑囚を処刑

 カサスベ中尉とみられる男性は生きたまま焼かれた。ヨルダン軍は、中尉が殺害されたのは1月3日だと発表した。根拠は示されていない。イスラム国は、後藤健二さん(47)の解放の条件として、ヨルダンにリシャウィ死刑囚の釈放を求め、応じなければ、中尉、後藤さんの順に人質を殺害すると脅していたが、その前に中尉を殺していたことになる。

 映像で、イスラム国はヨルダン軍の複数のパイロットに懸賞金をかけ、氏名や住所を公開した。欧米や湾岸諸国の経済支援を受け、有志連合の一角をなすヨルダンに攻撃をしかける内容だ。カサスベ中尉は、ヨルダンの空爆参加を批判させられており、イスラム国は、空爆に批判的な意見があるヨルダンを揺さぶる意図を鮮明にしている。

 米は支援強化

 一方で、訪米中のヨルダンのアブドラ国王(53)は3日、バラク・オバマ米大統領(53)と会談した。会談に先立ちオバマ氏は、パイロットの殺害は「イスラム国を弱体化させ、最終的に打倒しようとする有志連合の決意を倍増させる」と強調した。

 ジョン・ケリー米国務長官(71)も、ヨルダンのジェデ外相と会い、今後3年間のヨルダン支援を年6億6000万ドル(約776億円)から年10億ドルに引き上げるとする了解覚書に署名した。国境を接するイラクやシリアから逃れてくる難民対策などに充てられる。アブドラ国王は国営テレビを通じて、国民の結束を求めた。対イスラム国の最前線に位置するヨルダンにとっては、米国主導の有志連合との連携強化が重要になる。

 一方、安倍晋三首相(60)は4日の衆院予算委員会で、イスラム国がパイロットを焼殺する映像を公開したことに対し「誠に言語道断で大きな憤りを覚える」と強く非難した。

 18、19両日に米国で開かれる米国主導のテロ対策会議への参加も表明し、有志連合と協調してイスラム国のテロに対峙(たいじ)する姿勢を鮮明にした。(アンマン 岩田智雄、 ワシントン 加納宏幸/SANKEI EXPRESS

 ≪「政府は報復を」 市民抗議デモ≫

 「イスラム国」に拘束されていたモアズ・カサスベ中尉の殺害映像が公開され、ヨルダンの市民は4日、ヨルダン政府にも不満の矛先を向けた。イスラム国に対する報復を叫ぶ声が高まる一方、厭戦(えんせん)気分も漏れる。「ヨルダンの息子」と呼んで中尉の救出に全力をあげる姿勢を見せていたアブドラ国王は、苦しい状況に追い込まれた。

 「難しい局面で団結するのは、全ての国民の義務だ」。国王は訪問先の米国からのテレビ声明で、中尉の殺害で動揺する市民に結束を呼びかけた。

 ヨルダン紙などによると中尉は有力者の家族の一員で、優秀な成績で空軍を志願した。国会議員や親族らが帰還実現を求め集会を開くなど、救出は国民の大きな関心事となっていた。

 首都アンマンでは、中尉の虐殺映像が流れた3日夜に抗議デモが発生。政府は市民の怒りに呼応するように、中尉との身柄交換を釈放条件にしていたリシャウィ死刑囚の処刑を宣言し、日の出を待たずに即時執行した。

 一方、中尉の出身地である中部カラク地方の部族が集う市内の集会所前では、中尉の親族が政府を批判。「米国の戦争に協力しなければ殺されることもなかった」などと訴えた。

 過激派の浸透を恐れるヨルダンは昨年9月、米国が主導する有志連合の軍事作戦に参加。中尉の戦闘機は12月24日、シリア領内のイスラム国支配地で墜落して拘束された。

 ヨルダン政府は、イスラム国に中尉の生存確認を重ねて要求する一方、生存可能性は「五分五分」(下院のバッサム・マナシール外交委員長)と分析していた。だが、1月3日に殺害されたとの情報が正しければ、中尉は墜落からわずか10日で殺害されていたことになる。定評のある情報収集能力にも疑問符がつけられた。(アンマン 吉村英輝/SANKEI EXPRESS

ランキング