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社会
応援部隊 3日内に14万人規模派遣 南海トラフ地震 政府、行動計画
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広域医療搬送の訓練で、ヘリから患者を運び出す自衛隊員ら=2014年11月、宮城県仙台市若林区の陸上自衛隊霞目駐屯地(共同) 南海トラフ巨大地震に備え、人命救助に向けた応援部隊の派遣や救援物資輸送方針を定めた政府の応急対策活動計画案が22日、判明した。全国から自衛官や警察官、消防士らで構成する最大13万7520人を、おおむね3日以内に被災地に派遣することが柱。食料や毛布などは被災地からの要請を待たずに緊急輸送する。静岡など10県を重点支援対象に位置付ける。内閣府が近く中央防災会議に報告する。
南海トラフ地震では、津波により、陸路からの部隊派遣が困難な地域が多数生じることも懸念される。迅速な支援に向け、ヘリの発着が可能な広域活動拠点の整備や、海上も含む輸送路の確保が課題となりそうだ。
計画案は、最悪で死者30万人以上とされる被害想定に基づき、県内の警察や消防の対応能力を大きく上回る被害が見込まれる静岡、愛知など10県を重点支援対象とした。いずれも南海トラフ地震の震度6弱以上の揺れなどが予想され、対策を強化する「防災対策推進地域」を抱えている。これ以外の37都道府県は、防災対策推進地域がある19都府県も含め、地震発生後に可能な限り警察官や消防士らを出動させる。自衛隊も直ちに活動を展開。最大の派遣規模は自衛隊11万人、警察1万5750人、消防1万1770人。
高知や和歌山などの一部地域は津波で陸路からの派遣が困難なため、航空機や船舶による活動を想定。北海道や沖縄の応援部隊は、民間のフェリーも使って本州や九州に運ぶ。
救援物資については、発生から3日間は家庭や自治体の備蓄で対応してもらうことを原則とし、4日目以降の食料や毛布、粉ミルク、おむつなどが迅速に被災地に届くようにする。
東日本大震災で深刻な燃料不足に陥った教訓から、地震発生後に石油会社は系列を超えた供給体制を構築し、自治体は病院など優先供給施設を決めるとした。
≪生存率低下「72時間」念頭 4分野、時系列で目標明示≫
南海トラフ巨大地震を想定した政府の応急対策活動計画が近くまとめられ、国家に甚大な影響を及ぼしかねない大災害への備えは実行段階に入る。多くの災害を経験してきた日本の知見や技術を生かし、総力を挙げた取り組みが求められる。
東日本大震災を踏まえ、政府はあらゆる可能性を考慮した最大級の地震に備える方針に転換。対策見直しの第1弾が南海トラフ地震で、被害想定では従来の震源域を大幅拡大。昨年3月に決定した防災対策推進基本計画では、最悪ケースの想定死者数33万2000人を10年間で8割減らす目標を明示した。
死者をゼロに近づけるため、津波が到達してもすぐには崩れない構造の防潮堤や避難タワーの整備、建物のさらなる耐震化は急務だ。ソフト面の対策強化も重要で、地震や津波の予測精度向上、迅速な警報伝達が大きな課題となる。高台や頑丈なビルの上層階への迅速な避難を促し、防災教育を進める必要がある。状況に応じて、住宅や学校、医療施設の高台移転も検討課題となる。
今回明らかになった応急対策活動計画案は、生存率が著しく下がるとされる発生後72時間までの行政や関係機関の取り組みを定めた。「緊急輸送路確保」「救助・消火」「医療」「物資」の4分野で行動目標を時系列に示している。
地震発生後直ちに、広域応援部隊の先遣隊や災害派遣医療チーム(DMAT)が出動。国や県などはヘリを使って被害状況を把握する。
続いて医療活動や、広域応援部隊の出動が本格化。24時間以内に広域移動ルートが通行可能となり、救援物資輸送の広域拠点も開設される。
2日目には、救援物資の輸送や船による救助活動が始まる。48時間以内をめどに、医師会による医療チームや日本赤十字社の活動も加わり、主な被災地へのアクセスルートを確保する。
3日目には、広域拠点に救援物資が運び込まれる。72時間以内に被害が甚大な沿岸ルートも開通する。
備蓄の枯渇が予想される4日目には、被災市町村や避難所に救援物資を届ける。(SANKEI EXPRESS)