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メキシコ 配車アプリ「追放」 既存タクシー業者反発 市、規制強化へ
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メキシコ市で行われたウーバーに対する取締強化を当局に要求するデモで、自分の車両のリアガラスに「出ていけウーバー」と書く既存業者のドライバー。この日、1000台以上の抗議タクシーが幹線道路を封鎖した=5月25日(ロイター) スマートフォンを活用した配車サービスで世界中で急成長を続けているUber(ウーバー、本社・米サンフランシスコ)が、メキシコ市から実質的な“追放”処分を受ける見通しになった。メキシコ市で営業を開始してから2年で、市内の約半数のタクシーが新規参入のウーバー傘下となり、既存のタクシー業者が猛反発。激しい抗議デモを行うなどし、事態を重視した市当局が、車両規制を強化して新たな税も課すことを決めたからだ。ウーバー側は「これでは商売にならない」としており、何かと話題のビジネスモデルにも影響が出そうだ。
ウーバーは2009年に米カリフォルニア州で誕生し、現在では世界50カ国以上、250都市以上でサービスを展開している。特長は、タクシー(ハイヤー)の呼び出し(配車)から料金の支払いまで、全てスマホアプリ上で完結すること。ウーバーのアプリを使用して迎えにきてほしい場所を地図上でタップすれば、近くにいるドライバーがすぐに返答し、同時に到着するまでの所要時間や料金も明示される。支払いも登録したクレジットカードで行う。多少値段は高めだが、便利さとリッチな気分が受けている。
日本でも、東京都心で昨年3月からMKタクシーなどのタクシー会社と提携してサービスを開始しており、その企業価値は40億ドル以上に上っている。ウーバー自身は「運送業者」を名乗っておらず、あくまでも客とドライバーとの間の「情報仲介業者」という立場を強調しているのがミソだ。
東京では既存の業者と提携しているため、トラブルなどは起きていないが、これはむしろ例外的なケースで、これまでにパリ、リオデジャネイロ、メキシコ市など各地で営業停止を求めるデモが起きている。背景には、日本ほど参入から増車・減車に至るまで細かい規制がある国は少なく、名ばかりの許可制で新規参入できたり、白タクが公然と横行しているという事情がある。
メキシコ市の場合も、参入は届け出だけで可能で、白タクも多い。ウーバーはメキシコ市では業者と提携せず、独自にドライバーを募集して参入したため、白タクが激増し、2年でタクシー台数は2倍に膨れ上がってしまった。この半数の約14万台がウーバー傘下だ。
ロイター通信と現地メディアによると、メキシコ市は週明けにウーバーを対象にした市条例を公布する。骨子は、(1)営業可能な車両の価値(価格)は25万ペソ(約195万円)以上とする(2)ドライバーは年1599ペソ(約1万2000円)の登録料を支払う(3)ドライバーは売り上げの1.5%を「新税」として市当局に納める-などとなっている。
これに対してウーバーの広報担当幹部のコーリー・オーエンズ氏は「これでは全くビジネスが成り立たない。世界中でこんなに意味のない規制をウーバーに強いてきた都市は他にない」と不満をあらわにしている。
ウーバーは、車両のグレードを都市によって3~5段階に分けているが、メキシコ市では一番安いUber-Xが9割以上を占めており、これらの車両価値は25万ペソに達していない。メキシコ市のタクシー業者の労組幹部、ルーベン・アルカンターラ氏は「25万ペソでも甘い。40万ペソ以上にすべきだ。13日にも市当局とさらに折衝する」と話している。
配車という古くからあるサービスを、ITを駆使して“革新”してみせたウーバーの取り組みを評価する声も少なからずある。今後の推移が注目される。