露破った「三笠」建造の誇り 今も 英国・バロー・イン・ファーネス
更新日本の造船に貢献
バローには「BAE」造船所の裏手に、かつての「船渠」跡地を改造して造船業の歴史を展示する「ドックミュージアム」がある。ここでは、「三笠」の1年前に建造され、モデルとなったフランスの戦艦「ヴェンジャンス」と日露戦争後、1913年に建造された「金剛」の模型が飾られている。
「金剛」は当時、世界最大で世界最強、最先端の戦艦だった。学芸員のグラハム・カービンさんによると、「三笠」「香取」を建造したヴィッカーズは日本海海戦での活躍を誇りにして日本海軍と親密な関係を保った。そこで「金剛」建造にあたり、企業秘密を隠さず、日本側から造船技術者の派遣、調査や船体の図面入手や同型艦の日本国内での建造を許可する「技術供与」の便宜を図った。この結果、同型艦「比叡」「榛名」「霧島」3隻を国内で建造して日本は造船技術を世界超一流に引き上げた。
日露戦争当時、日本の戦艦6隻はニューカッスルなど全て英国で製造され輸入された。英国は世界一の造船大国で、同盟国として最先端技術がそろう最新鋭艦を惜しみなく提供した。奇跡の勝利を収めた要因の一つはここにあった。





