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ガンダム、ガッチャマン、ボトムズ…“お宝”大量初公開 「超・大河原邦男展」

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ガンダム、ガッチャマン、ボトムズ…“お宝”大量初公開 「超・大河原邦男展」

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「機動戦士ガンダムIIIめぐりあい宇宙編」(1982年)ポスター原画=(C)創通・サンライズ  「科学忍者隊ガッチャマン」に「機動戦士ガンダム」、「タイムボカン」シリーズ…。40年以上にわたり、数々の人気アニメに登場するロボットを生み出してきたメカニカルデザイナー、大河原邦男(おおかわら・くにお)さん(65)。その業績を振り返る特別展「超・大河原邦男展-レジェンド・オブ・メカデザイン」が23日から兵庫県立美術館(神戸市中央区)で始まった。これまで一般の目に触れることがなかった“お宝”が大量に初公開される特別展。そのみどころを紹介する。

元祖「メカニカルデザイナー」

 大河原さんは昭和22年、東京都生まれ。東京造形大学を卒業後、大手アパレルメーカー勤務などを経て、タツノコプロに入社。昭和47年に放送された科学忍者隊ガッチャマンで初めて担当したメカのデザインが高い評価を受け、その後はメカ専門のデザイナーとなった。

 そして、53年にフリーとなって手掛けたのが、54年放送の機動戦士ガンダムに登場するガンダムやザクなどのモビルスーツ(ロボット兵器)。これらはプラモデルなど商品化されて大ヒットし、それまで日本では認知されていなかったメカニカルデザイナーという職業を確立した。

 その後も、「太陽の牙ダグラム」「装甲騎兵ボトムズ」などでミリタリー路線の重厚なロボットをデザインする一方、タイムボカンシリーズでは“かわいい系”のメカも生み出してきた。その斬新で独創的なデザインはアニメの枠を超え、美術界にも大きな影響を与えている。

 今回の特別展を企画した兵庫県立美術館学芸員の小林公さん(36)は「大河原さんが生み出した数々のメカデザインは、20世紀の日本で生まれたイメージの中で、おそらく最も重要なものの一つとなるでしょう」と話す。

6千点超から厳選

 今回の特別展には、ガッチャマンを制作したタツノコプロや、機動戦士ガンダムのサンライズなどのプロダクションが全面協力。これまで資料室に厳重に保管されるなど、門外不出とされてきた原画が初めて公開される。

 「代表的な作品に限っても、設定資料の数は数万点。今回、特別展のために調査した資料だけでも、6千点を優に超えました」と話す小林さん。特別展で展示されるのは、その中から厳選した設定資料やイラスト、ポスターの原画など約400点だ。その会場は、大河原さんが活躍したそれぞれの時代に合わせ、7つの展示企画で構成されている。

 「『メカニカルデザイナー』誕生」では、ガッチャマンなどの初期作品を展示。ガンダムをはじめアニメ界に革新をもたらしたリアリティーあふれるロボットの世界観が披露されるのが、「兵器としてのロボット」だ。一方、「カワイイ、メカ」では、タイムボカンシリーズなどで手掛けた遊び心満載のキャラクターを紹介する。

 小林さんは「40年という歴史は長い。たとえ大河原さんの名前を知らなくても、作品を知らない人はまずいないはず。幅広い年齢層に、それぞれの世代が親しんだ作品の創作過程を楽しみながら見てほしい」と呼びかける。

ロボットを原寸大で再現

 特別展のもう一つの目玉が、大河原さんに大きな影響を受けたという造形作家、倉田光吾郎(くらた・こうごろう)さん(39)が制作した原寸大の「スコープドッグ」。アニメから飛び出してきたかのような全高約4メートルの威容は圧巻だ。

 スコープドッグとは、昭和58年放送の装甲騎兵ボトムズに登場する、大河原さんデザインの二足歩行ロボット。大河原さん自身が「理想のメカデザイン」という自信作だ。

 「スコープドッグの登場は衝撃でした」という倉田さんは自身の工房で、一人で鉄板を叩いて曲げ、溶接して原寸大のスコープドッグを作り上げた。製作段階から注目を集め、平成17年に東京で開いた初個展には約2万人が訪れた。

 「大河原さんの原画が『根っこ』なら、僕の作品は『枝葉』。今回の特別展で、根っこから枝葉までが同時に展示されるのは光栄で、感慨深いですね」と倉田さん。大河原さんも「原寸大のスコープドッグを見ることができるのは、実は私自身、楽しみなんです」と話している。(戸津井康之)

 「超・大河原邦男展は5月19日まで開催。月曜休館。

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