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脱「ヤン坊マー坊」に挑むヤンマー 先進的デザインのトラクターで“大変身”
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ヤンマーの新トラクターコンセプトモデル スポーツカーのような外観、エアコンが利き、音楽も楽しめる運転席…。農業機械大手、ヤンマー(大阪市)が、「かっこいい農業」をイメージしたトラクターのコンセプトモデルを公表し、国内外で脚光を浴びている。高齢化にあえぐ農業の世界に若者を呼び込んで活性化させ、海外にも通用するブランド力を狙う。昨年、創業100周年を迎えたヤンマーは“大変身”しようとチャレンジしているが、果たしてその成否は…。
このトラクターをデザインしたのは、今年、ヤンマーホールディングスの取締役に就任した奥山清行氏。奥山氏といえば、フェラーリのデザインを手がけたことで知られる著名工業デザイナーだ。
ボンネットは丸みを帯び、赤と黒色を基調にしたシャープな外観に黄色のテールランプやガンメタルのホイール(車輪)が、かっこよさを際立たせている。
奥山氏は「イタリアのスーパーカーの横に並んでも遜色ない」と強調。
閉めきった運転席はエアコンが効き、音楽も楽しめる。実用性も強化し、1人で2台を運転できるよう、無人追尾システムを搭載した。
「かっこいい農業、もうかる農業を提案する」と奥山氏。コンセプトモデルは製品化の予定はないが、アイデアやデザインの要素が今後の製品に生かされる。
公表したのは、トラクターのコンセプトモデルだけでなく、奥山氏が手がけた赤白ツートンカラーのボートも。農業機械だけでなく、建設機械やプレジャーボートも手がけるヤンマーの“実力”をアピールした。
新開発のエンジンで高い駆動性能を持ち、2つの寝室は屋根を開閉できる。こちらは実際に発売する予定で、奥山氏は「大量生産はしないが欧米、中東、アジアのきちんとした人たちに売り込む」と抱負を語る。
さらに、著名ファッションデザイナーの滝沢直己氏による農作業着も披露。スマートなデザインで「農業」のイメージを一新し、動きやすさや防風・保温性も兼ね備えた。
ヤンマーがパートナーの英サッカーチーム、マンチェスター・ユナイテッドの香川真司選手も駆けつけて、農業の「変身」をアピールした。
「いいものを作っていれば大丈夫だと考えるのは、日本企業が抱える問題点の一つだ」
同社ブランド戦略の総合プロデューサーに就任したアートディレクター、佐藤可士和氏は、日系企業の姿勢を一刀両断した。
佐藤氏は昨年6月、ヤンマーの山岡健人社長から「創業200年をイメージしたブランドを作り上げたい」と協力を求められたという。
「これまでのヤンマーには、『プレミアム(高級)』のイメージはなかった」と佐藤氏。「グローバル化のなかでは、企業イメージを正しく伝えないとブランドとして認めてもらえない」と力説する。
佐藤氏が考案した新ブランドロゴは、ヤンマーの英語頭文字「Y」と豊作の象徴であるオニヤンマの羽をイメージ。「FLYING Y(フライング・ワイ)」と名付けた。
こうしたブランド戦略に伴い、おなじみの双子のキャラクター「ヤン坊マー坊」は登場を控えさせる。
国内の農業市場は成長余力に乏しく、農家の平均年齢は65歳を超えるなど高齢化が著しい。そのうえ、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の行方次第では、海外農産品の輸入が増える可能性も。
そこでヤンマーは海外販売のさらなる拡大をもくろむ。平成25年3月期の海外売上高比率は38%だったが、28年3月期に5割まで引き上げる計画。グループ全体の売上高も5771億円から7千億円を目指す。
日本と違って、農家の人手不足が顕在化し始めたアジアや大規模農場の経営が普及している欧米では、農業は成長産業とされる。世界では、農業が「プレミアム産業」になりつつある中、ヤンマーの「プレミアム化」も始まったばかりだ。