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ロンドンがラーメン激戦区に 「究極のファストフード」英メディアも後押し
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有数の国際都市でありながら貧弱な食事情がやり玉に挙がってきたロンドンの中心部で、ラーメン専門店が続々と開業、激戦区と化している。複雑な味のスープに多種多様な具を組み合わせた日本式ラーメンは、英国人にとって“異次元”の食べ物だったが、物珍しさもあってどの店も盛況。フィッシュ・アンド・チップスを代表とする英国の頑固な大衆料理界に、現代日本の「国民食」が風穴をあけることができるのか-。
ロンドンには多くの日本食店があり、すしや天ぷらは既にイタリア料理や中華料理、インド料理に続く外食の市民権を得ているが、ラーメンは長年無名の存在だった。そんな中、昨年3月以降、ロンドン一の繁華街ソーホーと周辺に4軒の専門店が次々に開業した。
昨年6月に開店した「トンコツ」は豚骨ラーメン(11ポンド=約1500円)を中心に、しょうゆ、みそなどのラーメンのほか、ギョーザや酒類を提供する。
日本人の料理人と共同経営するエマ・レノルズさんは日本食店経営を経て、ラーメン専門店の開業にこぎ着けた。「ラーメンはおいしさ満点の上、比較的手ごろな値段で楽しめる。一昨年、開店準備に入ったころも、なぜ専門店がないのか不思議だったほど」と人気の維持に自信満々。
来店していた商品デザイナーのジャックさん(30)は「英国人はもともとジャガイモなどを煮込んだスープが大好き。ジャガイモの代わりに麺が入っている感じだね」と違和感なく堪能した様子だ。
若者には最先端のクールな食べ物という受け止め方もあり、昨年3月に開店した「一点張」の関係者は「デートで来店する英国人カップルが多い」と話す。
当面のライバルである大衆料理の主役は、魚とポテトを揚げただけのフィッシュ・アンド・チップスや、ハンバーガーだが、多様な野菜や肉を使うラーメンは健康的なイメージが強み。
英主要紙インディペンデントは昨年、東京出張でラーメンのおいしさに目覚めた記者が、本格ラーメン店のロンドン進出を「ラーメンは究極のファストフード」と大歓迎する記事を執筆した。
ほかの英メディアもラーメンを次々に取り上げる中、これまでメニューの一部でほそぼそとラーメンを提供してきた幾つかの日本食店は、ラーメンを前面に打ち出した広告展開に乗り出した。
業界関係者によれば、近く別の専門店開業の計画も進んでおり、ブーム到来の期待が日に日に高まっている。