SankeiBiz for mobile

粗悪な食用油、バイオ燃料に再利用 莫大な経済効果、大気汚染も改善

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

粗悪な食用油、バイオ燃料に再利用 莫大な経済効果、大気汚染も改善

更新

 「地溝油(廃食用油など各種粗悪食用油の総称)はそのまま口にすれば人体に有害だが、精製してバイオディーゼル燃料として使えば、大気汚染を緩和する優れたクリーンエネルギーとなる」。中国石化石油化工科学研究院の杜沢学主任は「地溝油」の可能性についてこう語った。新華社が報じた。

 バイオディーゼルとは、動物由来または植物由来の油脂とメタノールを反応させ精製するディーゼルエンジン用の燃料。杜主任によると「地溝油」がこのバイオディーゼルの原料になるという。

 「1000万トン近く存在」

 食用油脂が慢性的に不足する中国が、欧米諸国のように大豆油や菜種油などの食用油をバイオディーゼルに使うことはできない。ただ、食用油は製造や消費の過程で酸化油や「地溝油」などの廃油が大量に発生する。そこで、バイオディーゼルの原料としてこの「地溝油」が注目を浴びるようになったのだ。

 中国石油化工(SINOPEC)の子会社、石家庄煉化の劉暁欣副総経理によると、バイオディーゼルの精製に使われる廃油に高い品質は求められない。このため、健康に害を与えるとして問題となっている「地溝油」でも十分原料として通用するのだという。

 「中国には資源となりうる廃油が現在1000万トン近くあるとみられ、それらをバイオディーゼルに使用すれば、莫大(ばくだい)な経済効果が生まれるだろう」(劉副総経理)。

 しかもバイオディーゼルは「ディーゼル車の排ガスの汚染物質、特にPM2.5の排出を抑える効果が高い」(杜主任)。バイオディーゼルが普及すれば、「地溝油」の食用油への再利用を減らせるだけでなく、経済効果を生み出し、さらに大気汚染も改善できる。

 そうしたメリットに目をつけた石家庄煉化は、廃食用油を使いバイオディーゼルを精製する技術を独自開発、国内外で30余りの特許を取得したという。

 しかし、これだけのメリットがありながら、「地溝油」のバイオディーゼルへの活用はいまだ全面的な商業化には至っていない。

 その理由を劉副総経理は「原料となる廃油の確保の難しさにある」と指摘する。同社の「地溝油」の買い取り費用は1トン当たり5000~6000元(約7万6000~9万1000円)。それに各種運営費用や税金などが加わるとコストは7000元前後に膨らみ、利益はほとんど出ないという。

 制度に抜け穴

 しかし、それでも買い取り価格が個人の回収業者より低く、中小の飲食店は廃食用油をほとんど個人の回収業者に回してしまうため、「地溝油」は再び食用油として食卓に上る。

 こうした現状に対し、重慶工商業連合会の厳●副主席は「食の安全の管理監督制度には多くの抜け穴があり、厳格な管理をしている地域ですら、正規のルートで回収される地溝油は全体のわずか50%にしか過ぎない」と危機感を示した。

 さらに、杜主任は「バイオディーゼルの生産者への支援も不十分だ」と指摘する。

 中国のバイオディーゼル製造プラントで一定の実績があるのは、今のところ、中国海洋石油(CNOOC)が2010年に海南省で建設した、年間生産量27万トンの生産プラント1カ所にすぎない。

 SINOPECは今年、江蘇省に年間生産量10万トンのモデル装置を建設予定だが、バイオディーゼルの普及と「地溝油」の有効活用を進めるには、政府によるより実効的な政策が必要だろう。(上海支局)

 ●=王へんに奇

ランキング