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波紋呼ぶ「ネット国有化論」 三木谷氏の主張に「タダは暴論」

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波紋呼ぶ「ネット国有化論」 三木谷氏の主張に「タダは暴論」

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インターネットの接続を体験する子供たち。ネットは社会に欠かせないインフラとなっている=東京都新宿区  企業活動や日常生活など社会全体に不可欠なインフラに育ったインターネットをめぐり、基幹ネットワークを「国有化」する案が波紋を広げている。

 発信源はネット関連業界を代表する企業の一つ、楽天の三木谷浩史会長兼社長。三木谷氏は「インターネット・ICT(情報通信技術)アウトバーン構想」を提唱し、ドイツの高速道を踏まえて「あらゆる制限をなくして無料開放すれば最先端の通信環境が整う」とするものの、国有化への異論は少なくない。

 政府の産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)が1日に開いたIT関連の会合で主査を務めた三木谷氏は、後で「三木谷ペーパー」と呼ばれるようになった資料を配布。ネットや通信網を社会インフラと位置づけ、インフラ機能の分離とアクセスの平等性確保、公正競争の確保のために検討すべき課題として、国有化案を盛り込んだ。

 政府関係者は「全体的にはもっともな規制緩和論だ」と評価しながらも、具体策として「NTT再々編などを含むインフラの国有化も検討」と明記したことに首をかしげる。

 ソフトバンクの孫正義社長が3年前に提唱した「光の道」構想を思い起こさせるが、大手通信会社の幹部は「規制がなくなればネットを利用して事業を行う会社はもうかるが、国有化でタダにしろというのは暴論」と批判する。

 「光の道」構想では孫氏が主張したNTT東西の光回線設備の分離をめぐり、2年間にわたる論議が繰り広げられた。三木谷氏は政・官・民を巻き込む論議を再び繰り広げようとしているのだろうか。1日の会合では甘利明経済再生担当相が「積極的に意見を出してほしい」と活発な論議を促したが、質問や意見は出なかったという。

 三木谷氏はかねて「国が特定の産業に資金投入すればモラルハザードが起きる」と主張し、競争促進のために規制緩和を唱えてきた。

 三木谷ペーパーでは、医薬品販売に代表される対面原則などインターネット利用を阻害する規制や商慣行の撤廃に向けた法改正も求めている。

 日本経済再生本部の傘下に置かれた産業競争力会議は安倍首相や関係閣僚、民間出身議員で構成。「IT戦略は成長戦略の柱だ」とIT重視の姿勢を鮮明にする安倍首相が三木谷氏を民間議員に登用した経緯もあり、三木谷氏の存在感は大きい。

 新経済連盟の代表理事を務める三木谷氏は、世界のIT関連企業のトップらを集めて新経連が都内のホテルで16日に開く「新経済サミット」で、アウトバーン構想を披露する見通しだ。

 三木谷氏は15日、報道陣に対し「みんなで使う基幹網は国有化してもいいのではないか」と強調した。国有化の全体像には不透明さが残るものの、海外からも関心を集めそうだ。(芳賀由明)

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