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尖閣「日本が騒動起こした」 中国、2年ぶり国防白書で名指し批判
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【北京=川越一】中国国務院(政府)は16日、2年ぶりに国防白書を発表し、尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる問題に絡み、「日本が騒動を引き起こした」と主張した。白書で日本を名指しで批判するのは極めて異例だ。白書では「中国軍は中国の主権と安全、領土を脅かす行動に即応し、断固として防止する」と宣言。海洋強国の建設を促進し、「核心的利益」を守る決意を改めて示した。
「中国武装力の多様化運用」と題する今回の白書では、「中国は覇権や覇権主義的な行動を求めないし、軍拡競争にも乗り出さない」とする一方、中国人民解放軍の任務を「領土、領海、領空の防衛」などと定義した。
特に、「海洋管理を強化する」と強調して、尖閣諸島周辺や、ベトナムやフィリピンなど東南アジア諸国と領有権を争う南シナ海における活動を、さらに強める方針を明確にした。
中国は海洋権益の拡大に執着しており、それを支えるために、先進的な潜水艦や駆逐艦、護衛艦を投入して、近海での作戦能力向上を急いでいる。昨年9月に就航させた空母「遼寧」は、「強大な海軍の建設」の象徴として位置づけられているようだ。
白書は「ある国がアジア太平洋地域の軍事同盟を深化させ、地域の緊張をつくり出している」とも指摘した。「ある国」は、アジア太平洋地域に安全保障の軸足を転換したオバマ米政権、そして、米国との同盟関係を強化する方針を明確にしている、日本の安倍政権を指すとみられる。
国防省の楊宇軍報道官は記者会見で「軍事同盟強化は時流に合わない」と強調。“中国包囲網”が形成されることを警戒していることをうかがわせた。
また、白書では宇宙、サイバー空間の安全にも言及している。陸軍機動作戦部隊、海軍、空軍の現有兵力数がそれぞれ85万人、23万5000人、39万8000人にのぼることや、各軍区に所属する集団軍の番号など編成の一部を初めて明らかにした。
しかし、戦略ミサイル部隊と武装警察部隊、陸軍の残る部隊の兵力は公開せず、「不透明」との批判がやまない国防費に関する記載も省かれた。
人民解放軍総参謀部当局者は記者会見で、「戦争には反対するが、国家の核心的利益は絶対に犠牲にしない」と主張。「強軍の建設」を掲げる習近平指導部の対外強硬姿勢が、白書にも反映された形だ。