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英王室vsパパラッチ 白黒つける 「明らかにレッドライン越えた」
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ウィリアム英王子(30)の妻、キャサリン妃(31)のトップレス写真がフランスのゴシップ誌「クローザー」などに昨年9月に掲載された問題で、パリ郊外ナンテールの予審判事は、クローザー誌を所有するイタリアの出版社モンダドーリのエルネスト・マウリ最高経営責任者(CEO、66)を刑事訴追した。フランス通信(AFP)が4月24日、報じたもので、プライバシー侵害の罪に問われた。掲載誌発売直後に夫妻が刑事告訴してから7カ月。キャサリン妃の第1子出産を3カ月後に控えたタイミングでの訴追は、その公判の行方が王室プライバシー報道に白黒をつけ、あるべき姿を示すことになる。
問題の写真は、夫妻が昨年9月上旬にエリザベス英女王(87)の甥、リンリー伯爵が所有する仏南プロバンス地方にある別荘にバカンスで滞在した際に盗撮された。ウィリアム王子にサンクリームを塗ってもらう上半身裸姿などのキャサリン妃のスナップ写真十数枚が、9月14日発売のクローザー誌のトップ記事として5ページにわたって掲載された。
掲載と同時に英国では怒りの声が沸き起こり、ゴシップが売りのタブロイド文化が根づく英メディアでさえ、写真を転載したところは皆無だった。王子夫妻は「(ウィリアム王子の母で、パパラッチの執拗(しつよう)な追いかけ取材を受け続けた)ダイアナ元妃の時代に匹敵する重大なプライバシーの侵害に当たる」として、容疑者を特定せずに刑事告訴。ナンテールの裁判所は刑事捜査とは別に、前例がない王子夫妻の申し立てを受けてトップレス写真の再利用を禁止した。さらに写真のデータも夫妻側に引き渡されたが、モンダドーリ社が持つ別のイタリア誌やデンマーク、スウェーデン、アイルランドの雑誌には同じ写真が掲載された。
予審判事は、「(マウリ氏が)昨年9月14日のクローザー誌にキャサリン妃のトップレス写真を掲載することを許可した」ことがプライバシーの侵害に当たるとしたが、トップレス写真の撮影者は明らかになっていない。
これまでに何度か特ダネの芸能写真を撮影している仏カメラマン、パスカル・ロスタン氏はAFPに対し、「パパラッチの世界は狭いから、あの写真を誰が撮ったのかは仲間内なら誰もが知っている。南仏に住むアイルランド人とだけ言っておく」と語った。
英国王室のプライバシー権の保護は長年の大きな課題になっている。そして今回の一件は、パパラッチに追いかけられ起きたダイアナ妃(1961~97年)の交通事故をも想起させたため、英王室が「醜悪な形でプライバシーが侵害され、非常に悲しんでいる」との声明を発表したほどだった。英BBC放送の王室記者のルイサ・バルディーニさんは「ウィリアム王子は“エキスパート”といえるほど、プライバシーに関する法令に精通している。ダイアナ妃の悲劇がそうさせたのであり、キャサリン妃や生まれてくる子に同じ経験をさせたくないという思いは誰よりも強い。今回の一件は明らかにレッドラインを越えており、夫妻自らが告訴に踏み切ったのも当然だった。裁判ではメディアの利益に対して厳しい審判が下るだろう」と話している。