SankeiBiz for mobile

婚姻ビザ発給条件に年収285万円! 「日本人の夫が国外追放」英国で波紋

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

婚姻ビザ発給条件に年収285万円! 「日本人の夫が国外追放」英国で波紋

更新

 英国人と結婚した日本人に対して査証(ビザ)が発給されない問題が最近、英国で相次いでおり、英紙でも話題となっている。ビザの発給を担当する英国境局(UKBA)が昨年7月、通称「婚姻ビザ」の発給要件を最低年収1万8600ポンド(約285万円)と、敷居を高く設定したことが背景にあるようだ。

 「英国人のキャリアウーマンと結婚した日本人の夫は、ビザの規定で赤ちゃんの誕生には立ち会えないかもしれない」

 英夕刊紙イブニング・スタンダードは今年3月27日、こんな見出しの記事で、ビザ取得をめぐる問題点を指摘した。

 同紙によると、仕事で日本滞在中に知り合った日本人男性(30)と昨年10月に結婚した英国人女性(35)は、アパート経営のほか、コンサルタント業務など3つの仕事があるロンドンで新婚生活を始めた。しかし、国境局はそれらの一部を収入とは認めず預金も少なかったため、7月の出産予定日までに婚姻ビザ取得は不可能となり、夫は出国せざるを得ない状況に追い込まれた。同紙は「政府は外国人と結婚した私を、国外に追いやろうとしているように感じる」と話すこの女性の言葉を紹介した。

 英国では、増大し続ける偽装結婚などの不法滞在者や違法移民を排除するため、保守党政権となった3年ほど前から日本人を含む外国人へのビザの発給要件を厳しくした。

 ただ、婚姻ビザをめぐっては裁判となっている事例も多い。婚姻ビザを含むビザ発給の未処理件数は実に32万件以上にのぼっていると伝えられており、出入国管理強化は新たな問題を引き起こしている。

 英政府はこのため国境局を廃止し、内務省にその業務を戻すと先日、発表してはみたが、ビザ発給担当者の数が増えるわけではない。問題は解消されないとみられている。(ロンドン 内藤泰朗)

ランキング