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「メガバンク解体論」本格化 金融危機を経て大義も薄らぐ

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「メガバンク解体論」本格化 金融危機を経て大義も薄らぐ

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【ビジネスアイコラム】

 「ブラウン・ビター法」なる金融法案が銀行ロビイストの間で話題になっている。民主党のブラウン上院議員(オハイオ州)と共和党のビター上院議員(ルイジアナ州)の超党派コンビが4月末に提出した法案で、5000億ドル(約50兆8100億円)超の資産を保有する金融機関に対して、15%の自己資本を確保させる内容だ。

 主眼は経済社会のシステミック・リスク軽減。米連邦準備制度理事会(FRB)のボルカー元議長が考案したことで知られる、銀行の自己売買を制限する「ボルカー・ルール」をはじめ、2008年の金融危機の反省から制定された金融制度改革法の法律整備が遅々として進んでいないことに対するいらだちもある。

 仮に資産のリスク加重を厳格化した同法案が通過すると、JPモルガン・チェースといったメガバンクをはじめ、銀行持ち株会社になったゴールドマン・サックスなどに適用され、資本を手当てするための増資に迫られる。アナリストの試算によると、増資額は最大で1兆ドルに迫るそうだ。

 そうは言っても、増資したら資本コストが上昇するので、現在の事業をそのまま維持するのは経営合理性にそぐわない。事業売却や会社分割をメガバンクが選ばずにはいられないはず。ブラウン・ビター法はメガバンクに「事実上の解体」を迫っているのだ。

 LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の不正操作事件にJPモルガンが巨額損を計上したデリバティブ(金融派生商品)取引-。昨年から、メガバンクによる不祥事が米国で相次いでおり、金融機関の「メガ化」を認めたグラム・リーチ・ブライリー法の見直しを求める動きがジワジワと広がっている。

 「投資銀行から富裕層・国内銀行業務を切り離すべきだ」。足元は欧州投資会社のナイト・ビンキも、スイスの大手銀UBSに対して分割を求めている。UBSはLIBOR事件に関わったうえ、株価が急落したインターネット交流サイト最大手フェイスブック株を抱えて大損した経緯がある。

 安定的に稼げる預貸業務と自己売買が規制されてリスクの割にはもうからなくなってきた投資銀行を分けたがるのは、株主としては当然の発想だ。ナイト・ビンキは経済社会全体というよりも、UBS株だけに関心があるわけだが、くしくも米議会と同じ「分割論」で一致している。

 金融コングロマリットのシティグループを育てた米銀行家、サンディ・ワイル氏の主張を米政府が聞き入れて、銀行と証券を分けたグラス・スティーガル法を1999年に廃止したのは「金融機関の収益拡大が経済社会に寄与する」という大義があったから。

 だが、金融危機を経てその大義も薄らいだ。公私の場で「メガバンク解体論」が本格化するわけである。(産経新聞ニューヨーク駐在編集委員 松浦肇)

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