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【ネットろんだん】橋下慰安婦発言 「編集」抗議、囲み取材拒否と撤回が示すもの
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いわゆる“従軍”慰安婦をめぐる発言をきっかけに、ネット風に言うなら「世界的炎上」を起こしている日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長。批判に業を煮やしたか、17日には「発言を一言一句チェックしろというなら、やめます」と囲み取材の拒否を宣言した(20日に撤回)。今回は「政治家の取材拒否」の視点から、橋下氏の発言問題を考える。
政治家の取材拒否の事例でまず思い浮かぶのは、佐藤栄作元首相だろう。昭和47年6月の退任会見で「偏向的新聞は大嫌いだ」と言って記者たちを怒らせ、記者がそろって退席した後、テレビカメラに向かって一人でしゃべり続けたのは有名だ。
橋下氏も17日の囲み取材では、朝日新聞などを名指しして「『当時』という言葉を全部はずして、橋下は『慰安婦は必要』と言ったと報道した。最低だ」「僕が皆さんに言いたいのは揚げ足を取るんじゃなくて、文脈でしっかり判断しろっていうこと」と批判を展開。テレビに積極的に出演して理解を求めているのも、佐藤元首相のケースに似ている。
ここまでなら「ネットろんだん」である必要はないが、取材拒否の事例では、本連載の初回にも登場した元ライブドア社長、堀江貴文氏が過去に印象的なことをやっている。
堀江氏は平成17年の衆院選で広島6区から出馬したが、落選。当時の報道によると、落選後の会見で、佐藤元首相とは反対に、テレビカメラの方を締め出した。「テレビは僕の発言を都合のいい所だけ切り取って編集する」のが理由で、ペン記者だけを対象に取材に応じたという。
佐藤元首相は取材拒否の際、「テレビは真実を伝える」と言ったとされる。両氏は一見対照的だが、取材拒否が「編集」への抗議だったという点で共通しており、その対象が、約30年の間に新聞からテレビへと替わったことを意味している。そしてテレビの編集批判の足場になっているのは、言うまでもなく、進化したインターネット環境だ。13日の慰安婦発言後、ツイッターで膨大な発信を続ける橋下氏も、堀江氏と同じ文脈の中にいる。
17日の取材で橋下氏は、批判が高まる状況を「日本人の読解力のなさ」とも表現したという。これは、自身のツイッターに加えて、取材での発言がすべて文字起こしされてニュースサイトなどに掲載され、関心があればネットで簡単に閲覧できる現在の情報環境を踏まえた発言だろう。佐藤元首相の時代には考えられなかったことだ。
過去に「問題発言」によって地位を失った政治家は多い。日本維新の会共同代表の石原慎太郎氏は、橋下氏に「ツイッターをやめるべきだ」と助言したそうだが、橋下氏が囲み取材も再開して“戦い”を継続していられるのは、ネットの発信力と、検証可能な記録性の高さが背景にあることは間違いない。
ツイッターでは橋下氏にエールも送られている。「都合が悪くなるとすぐ前言撤回したり、曖昧に処理しようとする政治家がほとんどの中、橋下さんは真っ向から自分の主張をきちんとする。こういう政治家が増えないと日本は沈没する」(ドワンゴ取締役の夏野剛氏)。
橋下氏はどこまで戦えるのか。今後、再び取材拒否に転じることがあるとすれば、それは戦いの終わりを意味するのかもしれない。(光)
13日、大阪市役所での囲み取材で村山談話について考えを問われ、いわゆる従軍慰安婦に触れて「日本軍だけじゃなくていろんな軍で活用していた」「(当時は)必要だった」「日本が不当に侮辱を受けているようなことに関しては、しっかり主張はしなくてはいけない」と発言。米海兵隊員に風俗業者活用を求めたことも明らかにし、国内外から強い反発を招いた。