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「アベノミクス」押し上げ 都区部消費者物価、4年2カ月ぶりプラス
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安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が、物価や経済活動を押し上げていることが、31日発表された4月の主要経済指標で裏付けられた。全国消費者物価指数の先行指標となる東京都区部の5月の消費者物価指数も4年2カ月ぶりにプラスに転じ、政府・日銀の物価上昇目標2%に向けた動きも出始めた。夏のボーナス増額の動きもあり、アベノミクス効果が雇用や賃金に波及し本格的な景気回復につながるとの期待が高まりつつある。
総務省が31日発表した5月の東京都区部の消費者物価指数(2010年=100、中旬速報値、生鮮食品を除く)は、99.2で、前年同月に比べ0.1%上昇した。プラスになったのは09年3月以来4年2カ月ぶりだ。
4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、6カ月連続のマイナスとなったが、先行指標とされる都区部のプラスで、「5月にも全国の指数がプラスとなる可能性が高い」(野村証券の木下智夫チーフエコノミスト)との見方が急速に強まっている。電気料金値上げなどがその背景で、景気回復による物価上昇ではないが、長らくマイナスが続いた物価指数がプラスに転換することの景気への効果は期待が大きい。
4月の鉱工業生産指数や1世帯当たりの消費支出なども改善が続いており、景気が本格回復に向かいつつあることがうかがえる。アベノミクスによる円安や株価上昇は、富裕層の消費拡大や企業業績の改善で効果を先行させていた。
それが経団連の調査で、大手企業の夏のボーナスは昨年に比べ約7%増額となる見通しとなったほか、有効求人倍率も改善するなど、賃金・雇用にも波及しつつある。
こうした中、企業にも先行きへの楽観論が広がっている。アベノミクス効果で、高額品の販売増で先行した百貨店業界も「比較的手が届きやすい商品の売れ行きも伸びている」(日本百貨店協会の井出陽一郎専務理事)なか、高島屋は東京店(東京都中央区)の改装投資費を前年度の3倍に増やすなど、攻めに転じつつある。
自動車業界でも「東日本大震災以降、久々に夏のボーナス商戦が期待できる」(ホンダ幹部)と、明るさが出ている。
今年後半に向けては、こうした消費マインドの改善や政府の経済対策の効果が本格的に景気を押し上げ、「個人消費は堅調に推移していく」(明治安田生命保険の謝名憲一郎エコノミスト)という見方が出ている。
デフレ脱却が企業収益の改善を通して個人消費を一段と拡大させ、本格的な回復につながるとの期待が高まっている。
鉱工業生産指数 91.9 前月比1.7%上昇
(季節調整済み)
有効求人倍率 0.89倍 前月比0.03ポイント上昇
(季節調整値)
完全失業率 4.1% 前月と同じ
(季節調整値)
全国消費者物価指数 99.8 前年同月比0.4%下落
(生鮮食品除く)
東京都区部消費者物価指数 99.2 前年同月比0.1%上昇
(生鮮食品除く)
1世帯当たり消費支出 30万4382円 前年同月比1.5%増
(実質)
※東京都区部消費者物価指数は5月の中旬速報値