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ビッグデータ普及へ一歩 規制会議 答申に個人情報保護緩和

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

ビッグデータ普及へ一歩 規制会議 答申に個人情報保護緩和

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規制緩和でビッグデータ市場の拡大が期待されている(写真は顔認証技術をビッグデータ処理技術で結びつけるNECのシステム)  政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)は、インターネットなどで蓄積された大量の情報を活用する「ビッグデータ」の普及を目指し、阻害要因と指摘される個人情報保護規制の緩和を関係省庁に求めることが4日、分かった。安倍晋三首相に5日提出する答申に盛り込む。IT(情報技術)業界でも規制緩和をにらみ、ビッグデータ事業の拡大を急ぐ。

 ITの活用は、安倍政権の成長戦略の柱の一つ。中でもビッグデータは、新たなビジネスや需要創出につながることから注目されている。特にインターネット会員サイトや、ポイントカードなどを通じて、集められた顧客データを分析して、年齢層や属性などの嗜好(しこう)や消費行動を把握することで、新商品や新サービスの開発につながると期待されている。

 ただ、これらの会員データをそのまま他者に渡すことは、個人情報保護法で規制されている。特定の個人のプライバシーに関わってくるためだ。

 海外では個人を特定しない形にデータを変換すれば、活用が許されるケースがほとんど。規制改革会議では、対策を取った場合はデータのやりとりを可能にするよう消費者庁などに要請する方針だ。

 顧客の氏名を「X1234」といった符号に転換したうえで、もともとのデータ管理者だけが情報を把握し、データ利用者が特定の個人を識別できないような対処が想定されている。

 IT業界は、規制緩和を追い風にしようと対応を急いでいる。日立製作所は5月末に、ビッグデータ事業の個人情報保護のための独自のチェックリストを使った取り組み強化を発表した。プライバシーの侵害がないかを調査するほか、専任の担当者を配置し、コンサルティング業務の外販も図るという。また、NECはビッグデータ事業でのプライバシー保護の取り組みとして、独自のガイドラインに基づく運用を規定。各顧客やサービスごとにセキュリティーコンサルティングも行っている。

 ビッグデータ関連ビジネスは全世界で2012年に280億ドル(約2兆7890億円)に達し、16年には倍増すると予測されており、IT企業による競争が激化しそうだ。

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