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ボーナス上積み、消費回復への扉 百貨店など大がかりな商戦展開

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ボーナス上積み、消費回復への扉 百貨店など大がかりな商戦展開

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大手企業の夏季賞与  6月中旬に入り、百貨店など流通各社のボーナス商戦が本格化してきた。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による効果で、大手企業のボーナス平均額は上積みが期待されており、旺盛な消費を当て込み、閉店セールや新規オープンをこの時期に展開するなど、大がかりな販促策を展開している。

 「閉店売りつくし」と書かれたPOP広告が掲げられているフロアは、平日にもかかわらず女性客らでごったがえす。建て替えのために30日に閉店する松坂屋銀座店(東京都中央区)の閉店セールは連日、開店前から行列ができ、宝飾品や美術品など高額品が次々と売れていく。

 閉店セールは一般的に、閉店日の1~2カ月前から始まるが、同店が仕掛けたのは、4月3日の本格実施から約3カ月間というロングランセール。これが奏功。4~5月の同店売上高は前年同月比で2倍を大きく上回る勢いが続いている。

 「セールになってから4回も買っている」と話すのは、近くに職場がある女性(52)。インテリアショップ「フランフラン」などの人気店を期間限定で続々とオープンさせ、来店客を飽きさせない仕掛けも長丁場を支えており、閉店セールにリピーターがつくという、珍現象まで生み出した。

 閉店10日前の“ラストスパート期間”には、多くの会社で夏のボーナスが支給されている計算だ。「手の届く価格の高級品を充実させて顧客を迎えたい」と菊谷栄司店長。最後まで、手綱を緩めるつもりはない。

 経団連が発表した夏のボーナスの第1回集計によると、大手企業64社の平均妥結額は、前年同期比7.37%増の84万6376円で、5年ぶりに80万円の大台を超えたほか、バブル期の1990年に次ぐ、過去2番目の伸び率。アベノミクス効果で輸出企業を中心に業績が改善したことが大きな要因だ。

 今年に入って、高級腕時計などの高額品が売れ始めたが、株高による資産効果は限定的だった。本格的な消費回復には賃金上昇が欠かせない。ボーナス増は「より多くの人が、お金を消費に回すきっかけになる」(野村証券の木下智夫チーフエコノミスト)とみられている。

 駆け込み需要も照準 熱帯びる知恵比べ

 商機を迎え、各社の販促にも力が入る。家電量販店のビックカメラは、ビックカメラ赤坂見附駅店(東京都港区)の開店時期について、「旺盛な消費が見込めるタイミングを、みすみす逃がす手はない」(同社幹部)と、当初予定から大幅に前倒しし、ボーナス商戦に間に合う今月7日に設定した。

 百貨店の中元商戦でも、例年にない豪華な品ぞろえが目立つ。大丸松坂屋百貨店が15万円の高級ワインをギフトセンターに登場させたほか、高島屋も8000~1万円の価格帯の商品を前面に押し出す。ビール各社もギフト用のプレミアムビールを充実させ、客の財布のひもを緩めさせる。

 懸念がないわけではない。6月に入ってから、為替や株価の乱高下が続くほか、長期金利の上昇傾向や消費増税などの不確定要素も残る。だが、こうした要素をプラスに変えるような動きも出てきた。

 旅行各社は、円安の影響を受けやすい買い物ツアーだけではなく、「滞在型」を強化する。エイチ・アイ・エスは、2400人乗りのイタリアの客船をチャーターするクルーズ商品を発売。JTBも、ハワイやヨーロッパ旅行など、滞在型や史跡巡りなどの商品に力を入れ、現在は前年同期比で2桁増の申し込みがあるという。

 長期金利の上昇傾向や消費増税を前にした住宅の駆け込み需要を狙い、リビング部門を強化するのは百貨店大手のそごう・西武。西武渋谷店の地下1階に7日、家具やリビングの人気セレクトショップを集めたフロア「リビング エディション」をオープンさせた。

 念頭にあるのは、1997年の消費増税の直近1年で、リビング用品の売り上げが前年より約1割伸びた成功体験だ。「青山や自由が丘のセレクトショップを半日以上かけてめぐる消費者にも、満足してもらえる」(高橋幸智店長)。消費者の心をつかむための知恵比べが熱を帯びている。(佐久間修志)

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