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安倍政権きょう発足半年 アベノミクスで株高円安、雇用改善
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安倍政権発足前と発足後半年の主要経済指標の変遷 安倍晋三政権は26日で発足半年を迎える。大胆な金融緩和、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を軸とする経済政策「アベノミクス」によって、株価や為替などの市場に加えて、実体経済の指標の消費や雇用で、改善に転じつつある。日本株が急落した「5・23ショック」も経験するなかで、景気回復には、成長戦略の早期実行や追加策の中身が鍵を握りそうだ。
政権発足半年で、顕著な変化を見せたのは、株式、為替市場だ。量的緩和方針を打ち出したことで為替相場で円安が進行した。
1ドル=70円台後半の円高で苦しんでいた自動車や電機などの輸出採算が改善。トヨタ自動車の2013年3月期連結営業利益が1兆3208億円と、2月予想時から円安効果で約1700億円押し上げるなど、各社の決算は大幅な上方修正が相次いだ。「長く続いた円高が是正されつつある」(トヨタの豊田章男社長)中で、各社は14年3月期も増益基調を見込んでいる。
業績改善や一時1ドル=100円台の円安水準によって、株式市場も日経平均株価が一時1万6000円をうかがう水準まで急騰した。米国の金融緩和策の縮小観測や中国経済の不透明感で、平均株価が1万3000円前後まで修正されたが、政権発足時から約3割の上昇だ。
経済指標でも改善傾向が出始めた。総務省の家計調査は、2人以上の1世帯当たりの月間消費支出が約3万円増加した。大手旅行代理店の添乗員が「シニア層の海外旅行者が増え、ビジネスクラスを利用する比率はここ数カ月で急激に上昇」と語るなど、高額商品やサービスが好調だ。有効求人倍率もリーマン・ショック以前の08年7月以来の水準まで回復した。
一方、民間設備投資は回復途上だ。新規設備投資には慎重な様子もうかがえ、景気の本格的な回復を実感できない要因にもなっている。国内の生産動向を示す鉱工業生産指数の改善は明確になっている中で、民間投資拡大が、景気回復には欠かせない。
安倍政権半年をニッセイ基礎研究所の櫨(はじ)浩一専務理事は「政権に対する高い期待に実体経済が追いついていない」と分析する。成長戦略では「今は企業の投資など供給面に焦点があたっているが、同時に、企業がため込んだ内部留保を、株式配当や賃上げなど家計に移し、購買力につなげるような内需喚起の政策も必要」と期待する。