SankeiBiz for mobile

タイ、高まる大衆迎合批判 14年度予算案提出 コメ農家補償継続

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

タイ、高まる大衆迎合批判 14年度予算案提出 コメ農家補償継続

更新

 財政赤字削減を目指すタイ政府が2014年度(14年10月~15年9月)予算案を国会に提出したのをきっかけに、インラック政権による大衆迎合政策に拍車がかかっているとの批判が高まっている。現地紙バンコク・ポストなどが報じた。

 タイ政府は17年度に年間の財政赤字をゼロにする目標を設定。14年度予算案では歳出を前年度比約5%増の2兆5250億バーツ(約7兆9790億円)とし、財政赤字を2500億バーツと見積もった。今年度の財政赤字は政府試算によると3000億バーツとなる見通しで、500億バーツの削減となる。

 しかし、ここへきてインラック政権の主要政策の一つ、コメ農家への所得補償制度による今年度の損失額が、政府試算の最大1000億バーツを大きく上回る約1360億バーツ以上となったことが判明。「バラマキ」との批判が多かった政策だったことに加え、政府が早々に継続の意思を表明したことから議論が巻き起こった。

 米格付け大手ムーディーズは、同政策を続行すれば財政赤字が拡大し、タイ政府による削減努力をのみ込む恐れがあると指摘、「17年までに均衡予算を実現するという目標の達成を危うくする」と警告した。

 また、民間政策調査機関のタイ開発研究所は、11年に発足して以降のインラック首相の政権運営について、同首相の兄で01~06年に政権の座についたタクシン元首相を引き合いに出して、「大衆迎合に拍車がかかった」と批判している。

 同研究所は、タクシン政権は大衆迎合とされながらも健康保険制度の推進や「1タンボン1製品運動」(日本の一村一品運動に相当)など、大多数の国民の利益を実現し、地方の発展に貢献した側面があったと分析。そのうえで、インラック政権については自動車購入優遇政策や農家の所得補償政策など、「選挙を意識し、一部の人々のための政策実現に躍起になっている」と指摘した。特にコメ政策に関しては「市場を破壊し、経済に損失を与えている」と手厳しい。

 高まりつつある各方面からの批判をかわしつつ経済成長を実現し、財政赤字削減を着実に実行できるかどうか。インラック政権は正念場を迎えている。(シンガポール支局)

ランキング